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 ソースネクストが2007年7月に日本語ベータ版の提供を始めたオンラインオフィス「ThinkFree てがるオフィス」。このサービスを使えば、マイクロソフトOffice互換のワープロ、表計算、プレゼンテーションの各ソフトと、1ユーザー当たり1GBのオンラインストレージを無償で使用できる。ユーザーがソフトウエアをインストールする必要はなく、Webブラウザーを使って専用サイトに接続し、ユーザー登録すれば、各種サービスが利用可能になる。7月20日、ソフトウエアの開発元である米シンクフリーのTJ Kang最高経営責任者(CEO)が都内でインタビューに応じた。

■米国で、どのようなユーザーがThinkFreeを利用しているのか。

 ThinkFreeユーザーは現在、全世界で約32万人います。利用目的はユーザーによってまちまちですが、コスト削減に大きなメリットを感じて使い始めた人が多いのではないでしょうか。

 いくつか事例を紹介します。まず、米国ロサンゼルスの公立図書館が現在、データ閲覧と編集のためにThinkFreeを使っています。ロサンゼルス市内に図書館が72カ所あり、総クライアント数は約2000台。Windows Serverと米シトリックス システムズのターミナルサーバーを使って、マイクロソフトOfficeを集中管理していたのですが、このシステムだとサーバーのコストとソフトウエアのライセンス料がとても高くなる。TCO(total cost of ownership)を削減するために、システムを見直し、ThinkFreeの採用が決まりました。

 また、本社に勤務する従業員にはマイクロソフトOffice、それ以外の事業所ではThinkFreeを利用する、という会社も出てきています。ThinkFreeはマイクロソフトOfficeとの互換性を重視して作っていますが、マクロ機能が使えないなど、完全に同じというわけではありません。本社の従業員は機能をフルに活用するケースが多く、マイクロソフトOfficeを使用するのですが、コールセンターなどの部署にはThinkFreeを導入してTCOを削減するのです。

■収益はどのようにして上げるのか。

 方法はいくつかあります。まずは広告。Webブラウザー上に広告を表示することで収益を上げます。

 オンラインストレージの容量を増やしたり、追加サービスを使えるようにしたりする有料サービスも計画しています。ThinkFree Serverという企業向けのサーバー製品もあります。いずれにせよ、今はユーザー数を増やすことを第一に事業を展開しています。どのモデルが収益の柱になるかは、2008年の前半に答えが出てくるでしょう。

■グーグルもオンラインオフィスのサービスを始めているが。

 競合企業がいるのは、とても好ましいことです。シンクフリーが2000年に製品を発表したときよりも、グーグルがオンラインオフィス事業を始めた今の方が、はるかに大きな注目が集まります。

 グーグルと競合することで、さまざまな企業とのパートナーシップが組みやすくなるというメリットも生まれています。例えば、韓国。韓国には、NHNという有名なネット企業があります。ネットゲームや検索サービスを提供している企業で、韓国のネットワークトラフィックの多くをここが占めています。韓国において、グーグルのトラフィック量はNHNほどではないのですが、NHNにとってグーグルは怖い存在。このため、グーグルと競合する我が社との協業がスムーズに運ぶのです。NHNが、ThinkFreeをプライベートブランドでユーザーに提供する契約が、すでにまとまっています。

■日本語の本格サービスの開始時期は。

 2007年11月になる予定です。現在、新しいエンジンを開発中で、そのエンジンで日本語サービスを始めます。

 新エンジンでは、コラボレーション機能を強化します。現エンジンが備えているのは、非同期のコラボレーション機能。誰かがファイルは編集している間、他の人はそのファイルに書き込むことができません。一般に、複数の人が1つのファイルを同時に編集しながら作業するケースは少なく、この非同期の機能で十分にコラボレーションすることができます。リアルタイムでの同時編集を許すと、誰かが文書を書いたそばから、それを消していく危険性が生じます。

 グーグルはリアルタイムコラボレーションの機能を備えています。私はこの機能を初めて見たとき、「利用価値は低い」と感じました。ただ、ユーザーの反応はそうではありませんでした。他の人が書いた内容がリアルタイムで自分のシートに反映される機能を好意的に受け取ったのです。

 そこでThinkFreeの新エンジンでは、これまでの非同期コラボレーションに加えて、リアルタイムコラボレーションの機能を追加します。利用目的や状況に応じて、ユーザーがどちらのコラボレーション機能を使うのか選択できるようにする予定です。

■Office 2007へ対応は。

 マイクロソフトは、Office 2007でユーザーインタフェースを大幅に変更しました。しかし、ThinkFreeのインタフェースをOffice 2007ライクにする計画は、現在のところ立てていません。Office 2007で採用したリボンインタフェースは、マイクロソフトが特許を取得しています。マイクロソフトが供給してくれない限り、我々は作ることが難しいのです。

 ただ半面で、「シンクフリーに好機」との報道も目にするようになりました。マイクロソフトが新インタフェースに移行したことによって、既存のOfficeユーザーがThinkFreeへの乗り換えを検討してくれる機会が増えるのではという期待感です。

 インタフェースは変えませんが、Office 2007が新たにサポートしたファイルフォーマットには対応していく計画です。