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 「批判をするなら手を動かしてからいってほしい」。2007年7月26日、YouTubeが開発中の動画識別技術の実証実験に参加すると発表した角川デジックス。Web制作やコールセンター業務を行う同社は、今回角川グループのコンテンツをYouTube内で扱う際の窓口の役割を果たすという。YouTubeにコンテンツを提供する企業はあるが、技術的な面も含めて協力関係を結ぶのは日本では角川デジックスが初となる。その意図はどこにあるのか。角川デジックスの福田正社長に話を聞いた。

■今回のYouTubeとの提携にはどういった背景があったのか


 まず、YouTubeができて間もないころから、YouTube内にあるコンテンツを調べ始めた。取りあえず、1回見てみようじゃないか、と。今でも継続して調べているが、当然、一生かかってもすべてのコンテンツをチェックできるとは思っていない。ただ、これをやらずして、ものをいうべきではないと思う。違法だ、削除だ、と何も見ずに議論する人間が多すぎる。YouTube側でさえ、コンテンツの多さ、それを見る恐さもあって把握しようとさえしていないかもしれない。


 特に、コンテンツホルダーの中で、こういったことをコツコツやっている会社はほとんどない。30秒のトレーラー(宣伝映像)はまあ許せるよね、とか、25分のアニメをそのまま上げているのはナシだよね、とかそういうのはどんな動画が投稿されているかを1本1本見ないと分からない。1件ずつ見ていくことで、ようやくレファレンスファイルを作った方がよいとか、自動学習能力があればいいとか、そういった技術の部分で必要なものが見えてくる。

 必ずしも著作権所有者すべてが削除してほしいと思っているわけではない。また、これらを角川側が全部削除するのは簡単かもしれないが、それがいたちごっこになるのは見えている。違法だからといってすべて削除すれば、次の日にYouTubeのページビューが「ニコニコ動画」の半分になる可能性だってある。現時点では、著作権所有者から削除依頼がない限り角川グループが保有するコンテンツは残している状態だ。

 そういったことをコツコツやりながら、YouTube側にもいろいろリクエストをするようにしていた。最初は嫌な顔をされたりもしたが、ここまで時間もお金もかけてやっているうちに、向こうの人間も認めてくれた。彼らも我々のコンテンツを活用したい気持ちがある。

 YouTube内にアップロードされている違法な角川グループのコンテンツは月間1億ページビュー、100万ファイルを超えている。特に、ざっと数えただけでも「涼宮ハルヒの憂鬱」は累計1400万ページビュー、「らき☆すた」は累計1200万ページビューに上る。アニメとしてはYouTube内で世界一見られているのではないか。そういった中で、スティーブ(YouTubeの創業者スティーブ・チェン氏)やユン(昨日来日した米グーグルのデービット・ユン氏)からも「ぜひ提携させてほしい」という話になった。