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 2006年6月から「So-net SNS」を開始したソネットエンタテインメント。So-net SNSは、mixiなどの大手SNSと違い、誰もがSNSのオーナーになれることが特徴。誰もがmixiのようなサービスを作れるといったイメージだ。サービス開始から1年半が経過したSo-net SNSの現状と今後の戦略をソネットエンタテインメント ポータルサービス事業部門 CGMサービス部 SNSチームの千輝仁チームリーダーに聞いた。

■So-net SNSの現時点でのユーザー数は。

 2007年9月末時点で会員数は12万人、作成されているSNSの数は1万8000件(ただし、2カ月間ログインのないSNSは自動で消去されるため、変動する)。会員数、作成されているSNSの数、ともに携帯電話向けのSNS「SNSを作ろう」での数を合わせたものだ。現在、「SNSを作ろう」だけでは、約2000のSNSが運営されている。

■運営されているSNSの特徴は何か。

 パソコンで作成されているSNSは、コアなユーザーが集まって交流しているSNSが多い。例えば、ゲームセンターで行うオンライン対戦ゲームのSNSもその1つ。これはSo-net SNSの中で最もユーザー数の多いSNSで、アクティブ率(3日に1回ログインする比率)が70%を超える。ゲームセンターでチームを組んで行うゲームのため、場所や日時を決めて、SNSの会員同士で集まってゲームを楽しんだりしているようだ。開設以来アクティブ率が90%を超える海外のアイドルグループのSNSもある。

 一方、携帯電話版のSNS「SNSを作ろう」で作成されるSNSの趣向は少し違う。その内容は同級生や社員、同期など実生活でもすぐそばにいるような仲の良い関係で利用されているケースが多い。その証拠に、1つのSNSに参加する人数は最大でも50人くらいで、数人で運営しているSNSも少なくない。

 こういったことからも、同じSNSでもパソコン版と携帯版の世界は別だと考えている。携帯電話向けのSNSをパソコンの延長で考えてはいけない。例えば、飲み会で集まった人間がさくっと瞬間芸のようにSNSを作るといったようなことはパソコンではできない。使い勝手や機能のバランスも、パソコンと携帯電話では全く違うサービスとして考えなくてはいけない。

■So-net SNSはmixiのコミュニティ機能で事足りるのではないか。

 mixiに参加するには、友人関係も、趣味も、日常もすべて公開するのが基本。その人がどんなコミュニティに入ってるかがすべて分かってしまう。例えば、転職のコミュニティに参加した場合。そのコミュニティに所属した時点で、マイミクシィ(友人)すべてにそのユーザーが転職の意向があると分かってしまう。つまり、mixiにはパーソナリティのすべてがあり、それが長所にもなり短所にもなるのだ。

 友人として長く付き合ったり、人と人をつなげるならmixiを使って、その人の趣味や日常などのすべてを知っていた方がよい。ただ、例えば、転職や病気、コアな趣味など、人にあまり知られたくはないが、情報として知りたいものも人間なら持っているはずだ。また、メーリングリストのように連絡網としてSNSを使う場合、そのSNSに個人的な趣味や日常はいらない。人間の一部分を抜き出したり、生活の機能の一部分を必要とする場合には、So-net SNSが有効だ。

 そういった意味で、So-net SNSをmixiのやり方やサービスに近づかせようと思うかといえば、思わない。コンペティターにもなり得ないと考えている。mixiに関しては、どちらかといえば、共生していくものと捉えている。

■SNSはいろいろなサービスが乱立し、mixiなどのマンモスサイトだけではなく、お料理に特化したSNSやビジネスに特化したSNSなどが登場してきている。

 SNSは“サイズ感”が非常に大事だと思っている。それを間違うと失敗してしまう。「人が集まるサイズ」というのを、SNSのサービスを運営する側は見極めないといけない。つまり、「サッカーSNS」や「野球SNS」というSNSに人が集まるかというとそれは疑問。一方、「浦和レッズSNS」「阪神SNS」だと人は集まる。そういったところをうまくコントロールしてあげる必要がある。

 ただ、浦和SNSや阪神SNSのようなニッチなSNSをひとつひとつ運営する側が作成できるかというとそれは現実的に不可能。その部分をユーザーに任せたのがSo-net SNSだ。So-net SNSの場合、数千人を超えるSNSもあるが、平均すると20人くらいで運営する小規模なSNSがほとんど。今後、生き残れるのは、こうしたSo-net SNSのような「人が集まるサイズ」を意識したSNSとmixiのようなマンモスサイトなのかもしれない。

■今後のサービス拡張は。

 「SNSを作ろう」は、12月をめどにバージョンアップを考えている。カラーバリエーションを増やしたり、自分のSNSのロゴを作成できるなど、カスタマイズ性が上がる。

 パソコン版のSo-net SNSでも、作成されたSNSを各運営者にタグ付けしてもらい、それをまとめてソネットエンタテインメント側でSNSを探せるポータルサイトのようなものを作ることも念頭にある。

 また、収支の部分では携帯向けの広告も売り出し始めている。コンテンツマッチ型の広告をメインに、今後は力を入れていく。会員数がさらに増えれば、有料メニューを設ける予定もある。