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 一言で「情報化」「IT化」といっても、その意気込みや進展度は企業によってまちまちである。日経パソコンが2007年8~9月に実施した「企業の情報化実態調査」によると、IT投資に対して積極的な企業は数多い。しかし、調査結果を細かく見ていくと、企業の規模や事情によって、微妙な温度差が浮かび上がってくる。そこで今回は、長年にわたって中堅・中小企業の情報化・IT化を支援し、現場の事情や担当者の声に詳しい大塚商会の大塚裕司社長に、 IT市場の今後の見通しや、企業としてIT化に取り組む際の注意点を聞いた。

■本誌の調査結果を見ると、情報化投資に積極的な企業が多いようです。

 全体の目が中国などの海外に向いた時期もありましたが、今は違います。国内で製造業が息を吹き返し、多くの企業が知的財産や個人情報の保護を中心とした情報化に重点を置くようになりました。

 バブル経済の崩壊後、多くの企業は削減できるコストを可能な限り削って生き抜いてきました。この経験から、人材への投資は難しく、人を増やすのは「怖い」という感覚を持っています。このため、経営者の多くはIT投資によって経営の効率化を図ろうと考えています。

 実際、企業規模にかかわらず、ITへの投資金額は伸びています。今後、大企業で取引の電子化が進めば、サプライチェーンによって中小企業にも波及し、IT化のニーズはさらに広がるでしょう。

 経営陣の世代交代も、IT投資が堅調な理由の一つだと考えられます。高度成長期に起業し、順調に伸びてバブル崩壊を乗り切った会社の初代トップは、そろそろ引退の時期。中堅・中小企業で多く見られるケースです。二代目の社長や専務の多くは、初代の経営陣とは異なり、パソコンに対する“アレルギー”を抱えていません。このため、「情報化したい」「会社を変えたい」という意識を持てば、積極的にITに投資するのです。

 ただ、中堅・中小企業において、販売や財務、給与、顧客管理などの分野でITを十分かつ理想的に活用している会社は、実際にはまだ一部です。隅々まで、ITが行きわたっている状況ではありません。企業間の電子商取引でも、世界と比べて日本は遅れています。
 現在、通信回線などのコストはかなり低くなっており、従来よりもIT化を進めやすい環境です。IT化は、会社の仕組みを作り直すキッカケになります。企業経営を含めて見直せば、最終的にはコスト削減や生産性向上に大きく寄与します。

■中堅・中小企業の場合、セキュリティに対する意識がまだ低いように感じます。

 従業員数の差が、セキュリティ意識の違いにつながっているように思えます。例えば、当社はウイルス対策とWindowsの更新をセットにした、1クライアント当たり月額500円の「ワンコインサービス」を提供しています。このサービスを利用している企業の平均クライアント数は11台強。つまり、会社全体で使うパソコンが10台程度の規模の企業でも、セキュリティ対策への意識を持っています。ただ、この規模の企業で、セキュリティ対策のための専任者を置いてパソコンの運用・管理をするのは難しいことです。

 全社でパソコン数台という規模になると、さらに難しい。「ウイルス対策ソフトを入れてセキュリティ対策は終わり」となってしまいます。セキュリティ対策が大事と分かっていても、何をどこまでやればよいのか分からない中小企業は多いのです。スパム対策も含めた運用サービスを充実させ、中小企業のセキュリティ対策が進むためのバックアップ体制を整えていくべきでしょう。