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 グーグルは2007年10月、携帯電話向けサイト「Googleモバイル」を改良した。検索結果に地域に合わせた情報や関連画像を表示する、トップページの項目をユーザーが変更できるようにするといった新機能を加えた。パソコン向けサービスで次々と新機能を追加するグーグルが、携帯サイトではどのような存在感を出していくのか。米国のグーグル本社に勤務し、Googleモバイルのサービスを統括している徳生健太郎グループプロダクトマネージャーに今後の展望を聞いた。

●10月に改変したGoogleモバイルの評判は?

 ユーザーがどのように利用しているのかを調査しましたが、トップページをカスタマイズする機能がよく使われています。Gmailや地域情報をよく使うので、メニューを上の方に移動するといった具合です。検索結果の表示については、画像を表示するとパケット代がかかるという意見もあったので、リンクのみを表示するように切り替える機能も付けました。Googleモバイルは進化が始まったばかり。フォントの大きさを変えるといった、小さな部分の改良を積み重ねているところです。

●Googleモバイルはどのような用途で使われているか。

 2年前に開発をしていたときには、携帯電話で検索なんてするのかと言われました。検索するとしても、アダルトや違法コンテンツくらいだろうと。ところが、実際にフタを開けて見ると、そうではなく、健全な人々の生活のスタイルがそのまま現れているのです。

 例えば、テレビドラマの最後に着うたをプレゼントするという告知があったとき、直後の2分間にそのクエリ(検索キーワード)が急激に伸びたことがありました。テレビの前に座っている人が、瞬時に反応し、近くの携帯に手を伸ばしたのでしょう。これはパソコンではなかった現象です。パソコンの場合は、ほかの部屋に置いてあったり、電源が入ってなかったりするわけです。その時点で、携帯電話が最もアクセスしやすい端末だったのです。

 ほかにも、お盆の時には渋滞情報、台風が来ると台風情報、年末になると郵便番号、年が明けると1年の運勢を見るための占いサイトといったクエリが伸びます。携帯電話が日常の生活に密着した情報ツールとして使われているということが、検索に現れています。利用も増えており、ここ2年間でGoogleモバイルからの検索数の伸び率は、パソコンの検索サービスを上回っています。

●日本と海外を比べると、携帯サービスの使い方はどう違うか。

 日本は特殊ですよね。これだけ活発にコンテンツが配信されている国はありません。例えば、渋滞情報を配信する携帯サイトで、Webカメラで撮影された首都高のライブ映像を見ることができるのですから。ロングテールまでコンテンツが存在し、検索サービスで役に立つものを発見できる。それぞれの携帯サイトにアクセスがあるから、広告ビジネスも成り立つ。日本では、そんな好循環ができています。

 ただ、中国などでは携帯電話の数は圧倒的に多く、これから利用が増えていくでしょう。米国では、一時期は携帯電話の分野では遅れているという見方もありましたが、「iPhone」が登場して変わりました。いきなり、誰でも携帯電話でデータを扱うことが当たり前になってきたのです。携帯サイトが用意されてなくても、ネットの情報に簡単にアクセスできるだけで、ユーザーの使い方が変わったのです。これから世界全体に影響を与えていくでしょう。

●新しい携帯電話向けプラットフォーム「Android(アンドロイド)」が登場すると、どのようなサービスが実現できるか。

 現状の携帯電話はキャリアやメーカーによってプラットフォームがガチガチに固まっています。もしかしたら、これがいい製品を作り出すための障害になっているのではないかとの考え方もあります。ハードやOSが複数あれば、それぞれに向けてアプリケーションを開発するのは大変です。

 Androidでグーグルが主導権を握ろうというのではありません。プラットフォームをオープンにして、アプリを書くのも簡単にし、キャリア、メーカー、広告、ユーザーに恩恵が受けられるようにしようという提案です。例えば、従来から、グーグルはWebサービスのAPIを公開してきましたが、外部の開発者がこれを利用して我々ができないようなサービスを展開しています。そうした動きが、Androidでも起こることを期待しています。また面白いことができるでしょう。

●パソコンと携帯電話はどう使い分けられていくのか。

 パソコンのサービスを移植するのではなく、携帯電話でどういうニーズがあるのかを考えていきたい。そのまま移植するのでは、機能は多いが携帯電話で必要な機能が使いづらい状態になりかねないのです。

 例えば、ある知り合いはパソコンを持っていてもmixi(ミクシィ)を見るときは携帯電話を使う。これは携帯電話でサービスをうまく利用できていて、機能も十分であることを示しています。パソコンの使い勝手を超えるのが目標なのではなく、自分が使いたいときに手に届くツールを快適にしたいと考えています。最終的には、パソコンと携帯電話を使い分けるという意識を持たないように持っていきたい。

 携帯電話向けに独自にサービスが開発することも考えられます。実際、経路検索のサービスは2006年10月に携帯電話向けのサービスが登場して、その後の2007年4月にパソコン向けサービスが登場したのです。

 「情報を整理して使いやすく提供する」というグーグル全体の目標がありますが、それに基づいて携帯電話ならではの利点を生かしたサービスを作っていきます。個人的にはガジェットが好きなので、そうした機能が携帯電話で使えるようにしていきたいですね。