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 米インテルは8月23日からサンフランシスコで始まった、開発者向け会議「IDF(Intel Developer Forum)」で、次世代の製品戦略を発表した。CPUとチップセットなどをまとめて扱うプラットフォーム戦略を一層推し進めることと、広帯域の無線通信環境としてWi-Maxを普及させていくことなどが柱。
(写真1)米インテルのオッテリーニ社長兼CEO。社長として初日のIDFの基調講演を初めて行った

 初日の基調講演で基調講演を行った社長兼CEOのポール・オッテリーニ氏(写真1)は、まず最初のプラットフォームであったCentrinoの成功について触れた。Centrinoを提供してからはモバイル向けの機器の比率が提供前の17%から36%になったという。

 その上で、今後は「プラットフォームの会社としてニーズを探しユーザーに提供していく」と宣言した。このプラットフォームの軸となるCPUのアーキテクチャーについては、「W(ワット)あたりのパフォーマンスが重要になる」との見方を示し、次世代のプラットフォームを公開した。

 講演で明らかにされたプラットフォームは3種類(写真2)。それぞれノートパソコン用の「Merom(メロム)」、デスクトップは「Conroe(コンロー)」、サーバー向けは「Woodcrest(ウッドクレスト)」となる。Pentium 4の流れを汲む「NetBurst」とPentium Mのアーキテクチャーを融合させたもので、いずれも2つ以上のコアを持つ「マルチコア」となる。

 オッテリーニ氏は「史上初めてノート、デスクトップ、サーバーを単一のアーキテクチャーでカバーできる」とその性能の高さと低消費電力などに自信を見せた。出荷は2006年になる予定。2006年の第二四半期にはデュアルコアのほうがシングルコアよりも出荷が多くなること、そして90nmと65nmの出荷量も逆転するだろうと予測した(写真3)。

 プラットフォームだけではなく」、新しい市場の創出にも意欲を見せた。発展途上国に対しては独自のニーズに合わせた製品を提供していくとした。たとえば、電力事情の悪いインドではキオスクで複数の人が1台のパソコンで情報を見ているが、こうした環境では容量の大きなバッテリーと簡単にリカバリーできる機能を備えたパソコンが必要だとしている。これは「コミュニティーPC」として来年にも出荷されるという。

 先進国のように通信環境が整っていない途上国では、広帯域の無線通信が必要となると述べた。現在インテルはWiMAXチップを既に出荷している。このWiMAXチップを使い、インドの農村やエベレストのふもとの村など,有線でブロードバンドを提供するのが難しい地域でも、無線を使うことで、リアルタイムにテレビ会議をしてみせた。「今までは広帯域で通信できなかった地域とつなげることができた」とWiMAXの普及に自信を示した。  これらはすべてインテルのプラットフォームとして提供される。デモを終えた後、オッテリーニ氏は「我々は、今後もムーアの法則を追求し続ける」と述べて講演を締めくくった。

(写真2)公開された次世代プラットフォーム。オッテリーニ社長兼CEOが手にかけているのは、Woodcrestを搭載したPCサーバー (写真3)マルチコアの製品が増えるに従い、65nmの出荷量も増加し、来年にはいよいよ90nmと逆転する