電子情報技術産業協会(JEITA)は2006年4月27日、2005年度第4四半期(2006年1~3月)と2005年度通年の国内パソコン出荷統計を発表した。第4四半期の国内出荷台数は、対前年同期比3%増の376万8000台、国内出荷金額は同6%減の4613億円となった(発表資料)。
台数ベースで過去最高だった2004年度第4四半期の364万6000台を上回り、四半期ベースでの最高記録を塗り替えた。平均単価は従来同様下落傾向が続き、デスクトップパソコンとノートパソコンを合わせた平均で12万2000円と過去最低を記録。ただしノートに限ると、前期(第3四半期)の12万8000円から12万9000円へと若干持ち直した。
JEITAでは、景況感の回復に伴う企業の設備投資の増加、西暦2000年問題対策で導入したパソコンが更新期に入っていること、2005年度末で終了となったIT投資促進税制の適用を受けるための駆け込み需要などがあったことが好調の背景と分析している。
とりわけ堅調だったのが、2kg未満の「モバイルノート型」である。パソコン全体の国内出荷台数が対前年同期比3%増だったのに対し、ノートは同9%増、中でもモバイルノート型は同20%増と大幅に伸長している。ノート全体におけるモバイルノート型の比率は、これまで25%前後で推移していたが、第4四半期は30%まで上昇した。「軽くて持ち運びやすいといった点に加え、性能もいわゆるA4ノートと遜色ない水準まで高まったことが需要を喚起した」(JEITA パーソナルコンピュータ事業委員会 委員長の山本正己氏)。
デスクトップの低迷、「ノートに需要が流れただけ」と言うが…
半面、デスクトップパソコンは成長にブレーキがかかっている。国内出荷台数は対前年同期比3%減と、12四半期ぶりに前年割れを記録した。JEITAでは「法人向けを中心にモバイルノート型を購入する動きが目立ったことで、その勢いに押されて比率が下がったに過ぎない」(JEITA パーソナルコンピュータ事業委員会 幹事長の澤野明郎氏)としている。
とはいえ、家庭向けのいわゆるテレビパソコンの販売にブレーキがかかっている可能性も否定できない。デスクトップの国内販売台数を種類別に見ると、テレビパソコンの多くが採用している液晶一体型が同23%の大幅減、法人向けに多いデスクトップ単体タイプは同23%増と明暗を分けている。加えてデスクトップの平均単価も11万4000円と、過去最低だった2005年7~9月(11万1000円)に次ぐ安さとなっている。
2006年度第1四半期(2006年4~6月)はサッカー・ワールドカップをにらんだ商戦期で販売増が期待できる半面、32型や37型の液晶テレビやプラズマテレビが実勢価格で20万円台で販売され、パソコンと家電の食い合いになることが懸念される。これについては、「パソコンはパソコンとしての特徴がある。テレビも観られるがインターネットができるといった具合だ。一方、テレビも映像を観ることに主眼を置いた操作のしやすさや画面の大きさなど、パソコンとテレビはそれぞれに得意とする点を持っている。とはいえ、販売店におけるオーバーラップはあるとは思う」(JEITAの澤野氏)とした。
なお、2005年度通期の国内出荷台数は同9%増の1286万台、国内出荷金額は同1%減の1兆6075億円となった。台数ベースでは2000年度の1195万4000台を上回り過去最高となった一方、金額ベースではピークだった2000年度の2兆581億円からは大きく離れている。ここ数年は1兆6000億円前後で推移しており、平均単価の下落を台数の増加で補い、金額ベースでの産業規模を維持するという状況が続いている。