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 セイコーエプソンは報道関係者向けに、自社のインクジェットプリンターおよび、インクカートリッジの製造・リサイクル活動について説明会を開いた。リサイクル活動の説明では、詳しい工程の解説に加え、協力メーカーのリサイクル工場見学も実施した。役目を終えたプリンターや使用済みインクが、どのように回収・処理されて再利用されているのか、その実態を紹介しよう。

 インクジェットプリンターに関して、同社は法人ユーザーを対象に回収・リサイクルサービスを実施している(個人ユーザーは対象外)。法人ユーザーであれば、コールセンター(TEL 0120-203872)に電話をして製品の回収を依頼できる。回収は有料で、料金は個別のケースで異なる。

 回収したプリンターは、エプソンのリサイクル工場に送られる。到着したプリンターは、手作業と機械処理を使い分けて、ケース、回路基板、モーター、モニターといったパーツに解体、分別される(図1)。部品がそのまま再利用されることもあれば、粉砕して材料として利用される場合もある(図2)。プラスチック素材は粉砕して再利用され、電源ケーブルは粉砕後に銅と塩化ビニール樹脂に分けてからリサイクルされる。

 自社製品を自らリサイクルする利点として、同社はリサイクル工程で判明した問題点や改善点を、製品の設計部門に素早くフィードバックできることにあると説明する。リサイクルを前提とした再利用しやすい製品設計ができるようになるからだ。

カートリッジは家庭用の洗濯機で洗浄

 インクカートリッジに関して、同社は大手量販店などに回収ボックスを設置している(図3)。個人ユーザーならば、こちらのボックスに使用済みインクカートリッジを投函すればよい。大量に利用している企業ならば、回収箱を設置することも可能。この場合、エプソンが無料で回収してくれる。

 なお、エプソンは8000を超える学校にも回収箱を設置し、家庭や学校で不要になったインクカートリッジを回収するサービスも実施している。学校で回収したものに関しては、回収数に応じて一定のベルマークポイントも付与している。

 回収されたインクカートリッジのリサイクル処理は、エプソンの協力会社が行っている。なかでも長野県諏訪市にあるイングスシナノの工場では、全国で回収されたエプソン製カートリッジの約半分がリサイクル処理されている。

 エプソン製品のインクカートリッジは、複数の種類があるが、今回は、フォームと呼ぶスポンジ素材にインクを染み込ませた「フォームタイプ」のリサイクル工程を見てみよう(図4、図5)。手順としては初めに、カートリッジからラベルやICチップを取り外す。次にカートリッジを切断し、中からインクが染み込んだフォームを抜き取る。そして、カートリッジの外装部とフォームを洗浄、脱水、乾燥させる。きれいになったフォームはクッション素材として再利用される。外装部は粉砕機でこなごなにしてプリンターの排紙トレーや回収作業に使う回収ボックスに使われる。

 イングスシナノの工場内を紹介しよう。上記の工程が順に進められていたのだが、作業の大半は手作業を伴うものだった。カートリッジからフォームを抜き取る作業などは完全に手作業である(図6)。さらに、驚いたことに、カートリッジの外装部やケースは、なんと家庭用の洗濯機で洗浄、脱水されていた(図7、図8)。「家庭用の洗濯機は性能が良く、洗浄の工程には最適」(イングスシナノ)だという。この後、外装部は粉砕機で粉々にされる(図9)。

 エプソンによると、2004年度の同社カートリッジの回収率は全出荷数の7.9%。これはまだまだ少ない。エプソンは今後もさらにリサイクルに力を入れていくとしているが、個人ユーザーも今以上に協力するべきだろう。なおキヤノンもエプソンと同様のリサイクルを実施している。近くに回収ボックスがある人は、インクカートリッジは回収ボックスに捨てるようにしよう。

エプソンのプリンターに関するリサイクル活動の説明ビデオ