米シマンテックのワールドワイドコンシューマ製品/ソリューション営業担当副社長、ヴィンス・ステックラー氏に、同社の2006年の製品戦略などについて聞いた。
■2006年に注力する製品は?
ステックラー:2006年に力を入れるものは2つある。1つは「Genesis(開発コード名)」だ。ウイルス/スパイウエア対策、迷惑メール対策などに加え、ファイルのバックアップやリカバリー機能も備える。設定項目がほとんどないので、簡単に導入できるのが特徴だ。
インターネットを使っているにもかかわらず、セキュリティ製品を導入していないユーザーが40~60%にも上るという調査がある。多くの人がその重要性に気づきながらセキュリティ製品を導入しない理由は、使い勝手が悪いからだ。理想のセキュリティ製品とは、ユーザーに詳細な設定をさせたり、多数のダイアログボックスを出して質問を投げかけたりしなくても、継続的に安全性を保てるものではないかと思う。Genesisでは、高い技術的知識を持たない一般的なユーザーにも使いやすいユーザーインタフェースを提供する。この製品は9~11月ごろに、日本を含む世界の主要な市場で発売する予定だ。
もう1つは「Norton Confidential」で、最近増えている標的を絞った不正プログラムや、フィッシング詐欺などのオンライン詐欺に対応する。3年ほど前に流行していた不正プログラムは“子どものいたずら”のような愉快犯的なものが多かった。現在は金銭的な利益を出すことを重視して、攻撃対象を絞った不正プログラムやフィッシング詐欺が多い。こうした脅威に対抗するため、フィッシング詐欺のサイトにアクセスしたら警告を出すなどの機能を盛り込む。このNorton ConfidentialはGenesisのコンポーネントとしても出荷する予定だ。
■日本のコンシューマー市場の特徴は?
ステックラー:日本では、ISPからセキュリティサービスを受けるユーザーの割合が他国よりも高い傾向にある。例えば、日本でYahoo!BBが提供しているシマンテック製品を使ったセキュリティサービスは、米国の同種のサービスよりはるかにユーザーが多い。日本で新規購入のユーザーが多いチャネルは、(1)リテール(2)OEM(3)ISP(4)オンライン販売の順だが、世界的にはISPが最下位だ。これは日本のブロードバンド普及率が高いためだと思う。一方で米国のISP最大手AOLでは、9割程度がまだダイヤルアップのユーザーだ。
■米マイクロソフトでも、近くセキュリティやパソコンのメンテナンス機能を備えた「Windows OneCare Live」を発売する予定だ。この製品をどう見るか。
ステックラー:マイクロソフトが製品を出すことによって、ユーザーがセキュリティに寄せる関心が高まることは歓迎する。製品に対する評価はユーザーが下すべきものだが、OneCareは技術的には“過去の製品”とも見える。ウイルス、スパイウエア対策はマイクロソフトがここ数年間で買収した企業の製品を使い、デフラグやバックアップはWindowsが従来から備えるものを踏襲している。新しく搭載された機能は、双方向の通信を監視するパーソナルファイアウオールくらいではないだろうか。