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 松下電器産業は2006年11月13日、家庭内の電源コンセントを使ってネットワーク接続を可能にする電力線通信(PLC)アダプター「BL-PA100」など3製品を発売した。想定実勢価格は、親機と子機を各1台セットにした「BL-PA100KT」が約2万円、増設用の子機「BL-PA100」が約1万3000円。12月9日に発売する。このほか、パソコンやAV機器などへの組み込みを想定したPLCモジュール「MMDPMS150」のサンプル出荷を12月1日に始める。PLCは、日本国内では10月4日に総務省令の改正により解禁となったばかり。今回の松下の製品が、国内で初めてのPLC対応機器となる。

 PLCアダプターは、イーサネット端子から入力されたネットワークの信号を電源コンセントに出力したり、逆に電源コンセントから流れてきたネットワークの信号をイーサネット端子へ出力したりする機能を持つ。家庭内に張りめぐらされた電力線を、そのまま家庭内のネットワーク回線として転用でき、離れた部屋でも簡単にネットワーク接続環境を引き込めるというメリットがある。今回の製品の最大通信速度は、通信手順にTCPを用いた場合は55Mbps、UDPを用いた場合は80Mbpsという。

 なお、PLCは理論上、屋外の電力線からインターネット回線を屋内に引き込み、屋内に設置したPLCアダプター経由で機器に接続することも可能だが、日本の法令では屋外でのPLCの利用を認めていない。このため、PLCを利用する場合でも、家庭内で有線LANや無線LANによるネットワークを構築するときと同様、光ファイバーやADSLといったブロードバンド回線が別途必要になる。

使い勝手の良さで無線LANに対抗

 同社によると、日本国内の約4700万世帯のうち、2300万世帯が既にブロードバンド回線を敷設済み。ただし、「有線LANではケーブルが邪魔、無線LANでは電波が届かない、設定が難しい、セキュリティに不安があるなど、家庭内でのネットワークの普及にまだ課題がある」(パナソニック コミュニケーションズ 代表取締役社長の藤吉一義氏)。

 同社のPLCアダプターでは、こうした難点を取り除くことで家庭への導入を促す。具体的には、親機・子機のセット品はあらかじめ初期設定を完了した状態で出荷し、それぞれをコンセントにつなぐだけで使用開始できる。また子機を追加する場合も、親機と子機を同じテーブルタップなどにつなぎ、きょう体上部にある設定ボタンを同時に押すだけで完了する。無線LANルーターなどのように、パソコンをつないで初期設定をしなくて済むという簡便さを売りにする。「有線LAN、無線LANへの不満こそ、PLCの最大の販促材料になる」(松下電器産業 パナソニックマーケティング本部 PCDグループ グループマネージャーの原昭一郎氏)。

 とはいえ、家庭に普及しているノートパソコンの大半は既に無線LANモジュールを内蔵している。PLCは家庭内のネットワーク機器として後発となり、PLCアダプターの価格も無線LANルーターなどより大幅に安いわけではない。この点については、「今後、組み込み型PLCモジュールの出荷が増えれば製品単価を下げられる。無線LANモジュールと同程度の価格まで安くすることで、PLCアダプターやPLCモジュールを内蔵した機器の普及を促進したい」(藤吉氏)としている。

PLCが狙う、ネット家電普及への足がかり

 同社は当面、PLCアダプターをパソコンやパソコン周辺機器のネットワーク接続向けとして販売するが、将来的にはAV機器や白物家電、住宅設備などにPLCモジュールを内蔵し、いわゆるネット家電の普及を図っていく狙いだ。「新しい分野の商品であるため、まずは外付けのPLCアダプターを出荷するが、AV機器への内蔵も当然考えており、社内で議論を進めている。最近は、例えばテレビやDVDレコーダー、ミニコンポにもイーサネット端子を付けているが、実際に使われる機会はまだ多くない。これらの機器にあらかじめPLCモジュールを内蔵すれば、AV機器へのLAN接続が面倒という課題を解決できるだろう。熱設計などの課題が残されているが、これも早期にクリアできるとみている」(パナソニック コミュニケーションズ ホームセキュリティカテゴリー カテゴリーオーナーの小林英次氏)。同社では今後、電話機やFAX、インターホンなどへのPLCモジュール内蔵も検討していくという。

 松下の製品は、複数あるPLCの規格のうち同社が推進する「HD-PLC」方式によるもの。PLCにはこのほか「Home Plug AV」や「UPA」といった規格があり、現在のところ異なる規格の製品同士は接続できない。今後の規格統一に向けては、「当然1方式にまとまるのが望ましいが、海外では既に中~低速の電力線通信で市場が形成されている。当社としては3方式が共存できるような仕組みを提唱していきたい」(藤吉氏)としている。