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 ヤフーは2007年3月26日、インターネット関連技術の研究組織「Yahoo!JAPAN研究所」を4月1日に設立すると発表した。ヤフーの設立10周年を記念した事業の一つで(参考資料)、自社の競争力強化のための商用研究に加え、基礎研究などの成果を積極的に公表することで、インターネットの健全な発展に寄与することを目的とする。研究所はヤフーの1部門として位置付け、所長を井上雅博社長が務める。最高技術顧問には、慶應義塾大学環境情報学部の村井純教授(学校法人慶應義塾の常任理事も務める)が就任する。

 井上社長は「Web 3.0やWeb 4.0はいずれやってくるだろう。これらを他人に作ってもらうのではなく、うちで作りたい」と研究所設立に対する意気込みを語った。すぐに実用になる技術だけでなく、数年~十数年先を見据えた研究にも力を入れる構えだ。

 研究活動の軸とするのは、(1)社会インフラとしてのインターネットの今後の予測、(2)科学技術の発展への貢献を目指す基礎研究、(3)事業分野の開拓や競争力強化を目的とした応用/商用研究、の3つ。具体的な分野としては、情報検索の基礎となる自然言語処理技術(形態素解析など)、クリックや検索キーワードのログを分析することで利用者に合った情報検索を実現する技術、ユーザーの行動分析を通じて適したWebデザインを行う情報デザイン、有害な画像や映像の自動判別技術などを想定している。

 最高技術顧問を務める村井氏は、今やインターネットが一般の人々にとってなくてはならない存在になっているとし、今後は人や社会、地球に対していかに貢献していくかが重要だと強調した。そこで生きるのが、村井氏が「国内一」と語るヤフーの蓄積データ。ヤフーには、ユーザーがインターネット上に発信した情報や、ユーザーがどんなキーワードを入力したか、どのようにインターネットを利用したかといったログ情報などの膨大な資産がある。これらを分析し、人類や社会にとって有用な知識に編さんすることをYahoo!JAPAN研究所の重要なテーマに据える。

 研究成果は「隠さざるを得ないもの以外は公開していく」(井上氏)。米ヤフーが世界6カ所に70名規模で組織している研究機関「Yahoo!Research」と連携するほか、国内の産官学の研究機関とも共同研究などを予定している。最高技術顧問を務める村井氏も、研究成果をオープン化することの重要性をおおいに強調。「情報処理の分野では、競争の激しさゆえに健全な標準化があまりなされてこなかった」と指摘し、研究所として標準化に貢献していく方針を示した。

「昼飯めあて」はご勘弁

 まず、既に社内で活動している自然言語処理に関する研究チームを研究所に移管する形で、10人程度でスタートする。その後は30~40人をメドに、優秀な人材を社外から広く募集する計画だ。

 人材確保の手法としては、無料のカフェテリアなど福利厚生を充実させる米グーグルが知られている。これに対しては「昼飯めあてに来る人ばかり、というのは困る。ご飯代くらいは自分の研究で稼いでほしい」(井上社長)と皮肉を交えながら、「情報の世界では、何よりもその企業がエキサイティングなことをやっているか、が重要。“ヤフーが面白い!”という思いを持ってもらえれば、研究者は集まる。そのためにも、面白いデモやプロトタイプをどんどん開発、公開したい」(村井氏)と説明した。