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 文化庁長官の諮問機関で私的録音録画補償金制度の見直しについて話し合う、文化審議会 著作権分科会 私的録音録画小委員会の2007年第3回会合が、5月10日に開催された。この日の会合では、日本コンパクトディスク・ビデオレンタル商業組合(CDV-JAPAN)専務理事の若松修氏を招き、CD・DVDレンタル業界の立場から私的録音録画補償金制度について意見を求めた。

 レンタル業者が一般消費者に音楽CDをレンタルする際は、レンタル業者から権利者側へ「貸与使用料」を支払う。著作隣接権の一つとして規定されている貸与権に基づく対価の支払いである。若松氏はこの貸与使用料の制定経緯を明かし、「日本音楽著作権協会(JASRAC)と当時の日本レコードレンタル商業組合(旧組合)が1984年に協議して制定した。先例として参考になるものがなかったため、当時の録音使用料であった1曲5.8円を参考に、LPレコード1枚当たり12曲として約70円と仮に算出。その後の交渉で、アルバム1枚を1回貸与するごとに50円とした。当時のJASRACの担当理事が業界誌インタビューで語ったところでは、『えいやっ! で50円』と決まったという。翌1985年に、日本レコード協会(RIAJ)や日本芸能実演家団体協議会と契約を締結した際もこの50円が基礎になった」と説明した。

 現状のレンタル店の経営状況については、「店舗数は増えているが、新譜CDやDVD、書籍、ゲームなどの販売を手掛けるなど複合化が進んでいる。一方でCDレンタルの総売上は横ばい、店舗内のCDレンタル関連の売り場面積も横ばい。CDレンタルの1店舗当たりの平均月商は150万円で、平均的な利益率は5%。つまりCDレンタル業としての利益は月7万5000円程度で、CDレンタル専業では成り立たないのが現状」と述べた。

 ここ数年、新譜CDの販売実績が低落傾向にあることについては、「貸しレコードの時代から動向の大きな変化はなく、レンタルが原因で新譜CDの売り上げが減ったとは考えていない。インターネットなどを通じた楽曲ファイルの配布が原因とする説も、根拠がなく事実無根」との見方を示した。

「貸与使用料は複製を前提とせず」と語るが…

 若松氏をヒヤリングに招いた背景として、かねて議論となっている著作物複製料の「二重取り論」がある。これは、私的録音録画補償金の見直し問題の中で一部関係者から挙げられているもので、「元々レンタルは、借りた人が音源を複製することを前提にしており、レンタル料金に私的複製の対価も含まれていると考えるのが適当。私的録音録画補償金とレンタル料金を並立させると著作物複製料の二重取りになる」という考え方だ。

 現行の私的録音録画補償金制度では、一般消費者がCDからMDへ音楽をデジタルで複製することを想定し、MD1枚ごと、MDプレーヤー1台ごとに販売価格の数%の補償金を賦課している。私的録音録画補償金は元々、一般消費者が家庭内で行う複製の対価として規定されたものである。レンタル料金の中に複製行為への補償的性格を帯びた費用が含まれているとすれば、一般消費者は複製の対価として、レンタル料金と私的録音録画補償金を二重に支払っていることになる。

 私的録音録画小委員会では、私的録音録画補償金制度の抜本見直しを進める中で、二重取り論についても見解をまとめる必要があると判断し、二重取り論に関連の深いレンタル業者の代表者を招き意見を聞くことにした。

 二重取り論については、若松氏は明確に否定する証言をした。「旧組合とJASRAC、RIAJ、芸団協との貸与使用料を巡る協議では、複製を前提とする話は一切なされなかった。3団体と締結している貸与許諾契約書も、貸与にまつわる使用料と報酬を支払う契約となっており、複製に係る記述は一切ない」とした。

 ただし、その後の質疑応答では疑問の声が上がった。河村真紀子委員から、CDV-JAPANのWebサイトに2007年4月27日時点で「貸与使用料は、ユーザーが複製をするという前提で制定された。現行の貸与使用料の体系は二重取りの恐れがある」と記載されており、その後5月10日までの間に削除されたという指摘があった。

 「なぜ削除したのか。CDV-JAPANは主張を変えたということか」とただす河村氏に対し、若松氏は削除の事実を認めた上で「6年前に新品CD販売が低迷した際、JASRACに対し貸与使用料の減額交渉をしたことがあり、その根拠として私自身が二重取り論を執筆した。それがWebサイトに残ってしまっていて、外部の指摘を受けるまで気付かなかった。(二重取り論の主張について)その後取り立てて検証したわけではない」と釈明した。