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 先日、プレ編集会議で、“データの保存法”についての提案がありました。この話題、日経パソコンでも何度も取り上げていますが、要は「大事なデータをどのメディアに保存しておけば一番長持ちするのか?」というもの。CD-R、DVD-Rといった光ディスクなのか、ハードディスクなのか、テープメディアなのか・・・。当然、議論は白熱します。

 ふと、会議の最中に疑問がわきました。いまの小学生たちは、未来の自分たちへのメッセージや映像をいったいどういう形でタイムカプセルに入れているのだろうと。

 こんな疑問がわいたのも、たまたま見かけたテレビ番組がきっかけでした。番組の内容は、噴火で避難生活を余儀なくされた三宅島の新成人たちが、タイムカプセルを掘り起こし、中に入っていたぼろぼろのビデオテープを修復して見るというもの。小さい頃の自分たちの映像を見る三宅島の新成人たちは、時に笑い、時に泣きながら映像を眺めていました。

 遠い未来に送り届けるために埋めたタイムカプセルの中のデータが、もし消えていたら、旧友、そして小さい頃の自分との再会に水を差す事態になりかねません。

 “永久保存”は永遠の夢かもしれませんが、何か方法がないものか。ない頭を捻り出して出てきたアイデアは、「データを暗号化してネット上に一斉にばらまく」でした。自分のハードディスクが壊れても、誰かのハードディスクに入っていればいい、どこかのサーバーに保存されてればいい。将来、必ずや時の主導権を握っている高性能な検索エンジンが、自分のデータを探し出してくれる、そう考えたからです。しかし、これは各個人がデータの管理を放棄することに等しい。当たり前ですが、一斉にみんなが始めたら、たちまちネットワークはパンクするでしょう。そして、「他人に見られたくないデータだったらどうするの?」「それってもはやウイルスと同じじゃないの?」等々、もちろん全く賛同は得られませんでした・・・。

 議論は続き、結局、500号を迎えた日経パソコンがすべきことは、23年後の1000号記念に向けてタイムカプセルを埋めることでは?という話に。23年間もデータを守り続けてくれるメディア、今だと何になるのでしょうね。意外と記憶が一番だったりして。