2月2日~3日にパシフィコ横浜で開催された「Microsoft Developers Conference 2006」で、Windows VistaのCTP版(December Community Technology Preview 日本語版)が配布されていました。Hデスクが言うことには「これで何か記事を書いた方がいいんじゃねえか?書くべきだろう。書かいでか!」…と、言うわけでさっそく編集部でもインストールしてみることに。
ちなみにCTP版とはマイクロソフトがリリース前の製品を開発者向けに提供して、細かいフィードバックを受けるためのバージョンのことです。そのため、製品版では実装される予定の機能(今回のケースで言ったらサイドバーやガジェットがそれだ!)がまだなかったり、予想外のトラブルに見舞われたりする可能性があります。
編集部でも数台の自作パソコンにインストールしてみましたが、案の定というかインストールした1台目のマシンには「使用中に突然電源が落ちる」という謎のトラブルが発生。XPやVistaを上書きインストールしようとしても途中で落ち、CPUやグラフィックスボードを取り替えて再起動しても途中で落ち、「うわあCTP版て怖いな!」と叫ぶ記者(←2003年入社のためOSのメジャーアップデートに出くわすのは初めて)に向かって、近くにいた人が一言、
「でもこれってVistaのせいじゃなくて電源周りがおかしいとか、おまえが変ないじり方をしたとかのせいじゃないの?」
「……まあそうですねー」
結局、1台目のマシンは復旧できずに評価は2台目以降のマシンで行いました。
Vistaを使用している最中に、社内の通りすがりの人に何度も聞かれたのが、「結局、Vistaに変わって何が嬉しいの?」。これは開発者の人やシステム管理者の人が嬉しいというポイントではなく、「普段、家でインターネットとメール中心にパソコンを使っているような一般ユーザーにとっては、Vistaのどこが嬉しいのか?」という意味の質問です。で、これに答えるのは結構、難しい。
外観から言うとVistaのデスクトップの基本的な構成はXPと変わりません。変わりませんが、各所が「中まで良く見える」ようになっています。例えば、
▼ウインドウが透けて向こう側が見える
▼デスクトップ上では今までそっけないファイルアイコンで表示していた画像ファイル/フォルダーがサムネイル表示になる
▼デスクトップに展開中のウインドウを斜めに表示してくれる
などなど、見た目に楽しく、それなりに便利ではあります。
機能面では、ファイルやフォルダー管理の方法として「検索を使って欲しいんだよ!」というココロが前面に出ています。
XPでは、「フォルダー階層を順番にたどって欲しいファイルを探す」のが一般的です。しかしVistaではアドレスバーにドロップダウンリストが付いていて、そこから同じ階層にある別の画面にワープできたり、各画面の右上に検索窓が付いていて、そこから欲しいファイルを検索できたりするわけです。
ファイルもあらかじめ「検索して探す」ことを前提にして、検索時に使えるキーワードや属性を付けやすくなっています。
Windowsの管理者に付随する権限を制限するなど、セキュリティ面にも新たな配慮がされています。
Vistaにはこのように確かに数多くの便利機能があるのですが、しかし、先代のXPは5年間もの長きに渡って使われてきたOS。ユーザーもその操作にかなり慣れ親しんでいるはず。この“慣れ”を撃破するほどの強烈に快適なユーザビリティーや、ユーザーにとって使いやすく分かりやすい画期的なセキュリティ機能がVistaに発見できるかというと、CTP版の段階では「まだあまり見えないかなあ」というのが正直なところです。今後、製品版に近いバージョンが出てくればまた感想も変わるかもしれませんので、まあ“話半分”に聞き流してください。
記者「ところで記事のタイトルどうしましょう」
Hデスク「そりゃあアレだろ、『ウェ~ルカムトゥ~ヴィ~スタ~♪♪』」
記者「やです!ト○タに怒られる」
Hデスク「じゃ、『Windows Vistaの全貌』」
記者「それもやです。まだ全貌見えてませんからむしろ『Windows Vistaの“ちょっと”』」
Hデスク「それもかっこわりいな」
…結果としては『姿を見せ始めたWindows Vista』という極めて穏当なタイトルに落ち着いたわけですが、詳しくは日経パソコン2月27日号をご覧ください。