昨日のビッグニュースといえば、何といっても王ジャパン。イチローみたいに「人生最高の日」とまではいかないけど、かなり気分のいい1日だったことに違いはない。でも、お仕事的にはあんまり喜ばしくないニュースが飛び込んできた1日でもある。Windows Vistaの出荷が当初の予定からずれ込み、2007年1月になると米マイクロソフトが発表したからだ。
昨夜の発表は、「企業向けボリューム・ライセンス分は2006年11月、OEMパソコン向けとパッケージ製品は2007年1月」というもの。それ以前は特に区別なく「2006年中に」というのが公式見解だったから、たった1カ月とはいえ年をまたいで来年になっちゃうというわけだ。もう製品名も決まり、どういうOSになるのかも具体的に分かってきて、後はいよいよ年末に製品が登場するのを待つばかり――のつもりだったから、「年を越しちゃうわけ?」と腰がくだけてしまったのだ。
でも、その一方で「まあ、それも十分あり得るよな」と納得している部分もある。いつそんなことになってもいいように、覚悟をしていたとでも言おうか、心の中のどこか一部分は心の準備をしていたという感じ。なぜならマイクロソフトの新OSが、ずるずると出荷時期を延ばしてくるなんて、これまで何度でもあったからだ。Windows XPなんて、あまりに前のOSと間隔が空き過ぎたのでつなぎにMeをリリースせざるを得なくなったりしてしまったほど。
考えてみれば、Vistaだって延期になるのはこれが初めてではない。確かに“Windows Vista”と名称が決まってからは初めてだけど、「Longhorn」(開発コード名)のころは当初2003年出荷だったのが、2004→2005→2006と順調にカウントアップ、ここに来てついに2007年に突入することが分かった。これがポーカーだったらレイズにレイズを重ねて、エキサイティングな展開にシビレまくるところだが、これがマイクロソフトのOSとあっては冷静に受け止めるしかない。
思いっきり影響を受けるパソコンメーカーあたりも、冷静に受け止めているくち。マイクロソフトから事前の説明はなかったようで、公式発表でVista延期を知ったというが「最悪に近いシナリオではあるが想定の範囲内」(A社)なんて反応はまだいい方。中には「今は夏モデルの企画に追われてるんで、年末や年明けのことなんてとてもとても手が回らない」(B社)なんてところも。Vistaなんてどこ吹く風。1カ月ずれ込んだところで騒ぎなさんなということなのか?
まあ確かにこういう風にずるずると引き伸ばされることってのは、実生活でも少なからずある。周囲の記者とVistaのこれまでを振り返りながら「これって、『離婚するってずっと言ってるのに、いつまでこのままなの!』って怒ってる不倫中の人と立場は同じ?」なんて話してたら、Y記者が「それは信じてる方がバカなのよ」とバッサリ。Yさん、それじゃまるで僕たちって…。