
各メーカーから発売が相次ぐ夏モデル。取材に当たった日経パソコン記者たちからは「次世代DVDやワンセグに注目すべき」「新機能はいろいろあるけど、価格も上がった」「数年ぶりに値崩れするかも」など、いろいろな声が聞かれた。果たして、今年の夏モデルは「買い」なのか?
司会者:今年の夏モデルの見どころはどこかなぁ?
記者A:率直に言って、それほど真新しいものはないと思います。パソコンメーカーにしてみれば、本来なら秋冬にWindows Vista対応モデルを出して、ワァッと盛り上げるはずだったから、夏モデルはあまり革新的なものは用意してないんじゃないかな。
記者B:そうはいっても、次世代DVDがあるでしょう。東芝のHD DVD対応モデルは読み出し専用だけど、富士通は書き込みもできるBlu-ray対応モデルを投入するし…。
司会者:でも価格が高いんじゃないの?
記者B:東芝はノートで40万円、富士通はデスクトップで60万円くらい。確かに高いけど、新しい技術にいち早く触れられるのは魅力的でしょう。「初物買い」という意味では十分価値があると思いますよ。
記者C:携帯ノートも注目だと思うよ。全体的にバッテリー駆動時間が伸びていて、5時間を超えるものが当たり前になっている。7時間、8時間という機種も珍しくなくなってきた。
記者D:でも地味だよなぁ~。モバイルといえば、やっぱりワンセグでしょう。富士通のワンセグ対応モデルは、PCカードスロットに差して使うチューナーが付属しているだけなんだけど、ソニーのモデルはチューナーを内蔵して、アンテナも邪魔にならないようにしている。
記者A:地デジも、20万円くらいの売れ筋価格帯で対応するものが出てきた。富士通とか、日立製作所とか。以前はBSやCSのチューナーも搭載したハイエンドモデルしかなかったけど、機能を地デジに絞って安くまとめている。
司会者:FeliCaは注目じゃないの?
記者B:意外にいいと思うよ。NECのLaVie Lシリーズには、FeliCaをかざさないと現れない秘密のフォルダーを作れる機能がついた。FeliCaを利用したセキュリティ機能としては、これまでもソニーがログオンとかパスワード入力を提供していたけど、そこにとどまっていたからね。
記者D:私が惹かれたのは、デザインがおしゃれなソニーの「VAIO type L」。きょう体に透明パネルを使用していて、正面からは液晶が浮かんでいるように見える。ノートの機構を採用しているから薄くてスマート。本当にリビングに置きたいと思えたパソコンは、これが初めてかな。
司会者:リビングといえば、富士通の37インチモデルは?
記者D:だいぶカッコよくなって、テレビとして見ても違和感はなくなってきたけど、どうしても富士通はパソコンメーカーのイメージが強いんだよね。
数年ぶりに値崩れ発生か?買い時は5月~6月
司会者:夏モデルの価格はどうなの?
記者A:全体的には上がっていると思う。CPUが変わり始めているし、FeliCaとかワンセグとか機能を追加したものもあるし、その分値段が高めになった。
記者C:でも、今年は値崩れが起きるかも知れないよ。というのは、逆風になりそうな要因が3つ重なっているから。まず、ワールドカップで、みんな薄型テレビやDVDレコーダーの方にお金を使っちゃう。前回のワールドカップの時もそうだった。2つ目がWindows Vista。発売延期が話題になって知名度が上がり、「そうか、来年Vistaが出るなら、それまで待とう」という人が出てくる。3つ目は、毎年そうだけど、夏が暑いとエアコンを買う人が増えて、パソコンが売れなくなる。
司会者:なるほどね。ズバリ、値崩れのタイミングは?
記者C:5月の終わりから6月にかけてかな。ものすごく暑い日が続き、ワールドカップが盛り上がって、しかもWindows Vistaという言葉がちまたにあふれて買い控えの雰囲気が出てきたときがねらい目。ここ数年、パソコン業界はサプライチェーンをうまくやっていたので値崩れがなかったけど、今年は十分にあり得る。ユーザーにすれば絶好の買い時でしょう。