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 日経パソコン4月24日号の特集「ザ・Winnyパニック」で、情報流出を食い止める対策は「Winnyを使わないこと」だと書きました。その矢先、Winnyと同様のファイル共有ソフト「Share」を通じた情報流出が確認されました。毎日新聞社の関連会社が運営する読者会員組織の会員情報が流出したのです(写真)。

 これは、Shareを媒介に情報を流出させるウイルスの仕業。Winny関連の情報流出事件と根っこは同じです。ウイルスに感染すると、Shareの公開フォルダー(ファイルを第三者に渡すためのフォルダー)に、ユーザーの意図しないファイルが勝手に置かれ、それを他のユーザーがダウンロードして情報が流出するのです。

 結局、「Winny(をはじめとするファイル共有ソフト)を使わない」という人の“善意”に任せた対策では、今後も事件は起こってしまうと思います。というよりも、絶対に事件はなくならないでしょう。セキュリティ対策で一番難しいのが、ユーザーの意識向上だからです。

 「あのファイルが欲しい」という欲望を持ったユーザーに、いくら「ファイル共有ソフトを使うな」といっても、徒労に終わる可能性が高いのです。人の意思は弱く、魅惑的なものにすぐに飛びついてしまいます。

 人の弱さをカバーするには、ユーザーに見えない部分で技術的な対策を講じるべきです。「使うべきではない」との意識の徹底と、技術的な対策を組み合わせない限り、事態は収拾しないでしょう。

 技術的対策の一つに、ぷららネットワークスやニフティなどのプロバイダーが打ち出した、Winnyの通信制限をがあります。こうした対策は、Winny被害を収束させるのに効果があると感じています。通信制限をかけると、Winnyでのファイルのダウンロードに著しく時間がかかるようになり(あるいはまったく通信できなくなり)、Winnyユーザーが自然に減っていくことを期待できるからです。

 ただし、この対策は一部のプロバイダーだけが実施しても意味がありません。ファイル共有ソフト利用者が別のプロバイダーに流れるだけで終わります。

 また、この対策については反対意見も数多く出されています。「プロバイダーが特定のアプリケーションの通信を遮断することは、通信の自由を奪うことになる。今後のことを考えると、許すべきではない」との考えです。

 通信制限の是非はともかく、Winny被害を収束させるために、ユーザーの“善意”に頼らない対策は絶対に必要です。他のプロバイダーやネットワーク関連企業が、どのような対策を打ち出してくるのか、企業間で足並みはそろうのかなど、今後の業界の動きから目が離せません。