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【大画面デスクトップ、画質でアピール】

 「従来デスクトップは売れても低価格機ばかりだったが、地上デジタル放送の視聴機能のおかげで、高価格機もユーザーに勧めやすくなった」。東京・秋葉原のツクモパソコン本店 店長の戸苅義之氏は声を弾ませる。同店は3年ぶりに店内の陳列を見直し、地デジ対応のデスクトップを店頭の目立つ位置に据える。

 パソコン業界はテレビ機能付きパソコン(テレパソ)の好調で、近年の低迷から脱しつつある。電子情報技術産業協会(JEITA)によると、2005年1~12月のパソコン国内出荷は、金額ベースで対前年比5%増。長期低落傾向の平均単価も、デスクトップは10~12月に、7~9月と比べ6000円の大幅なプラスを記録した。

 とはいえこの夏商戦は、パソコン業界にとって厳しそうだ。台風の目となるのは、液晶やプラズマなど薄型の大画面テレビだ。JEITAによると、2005年1月~12月の液晶テレビの販売台数は対前年同期比58.3%の大幅増。プラズマテレビも同37.8%と勢いづく。ビックパソコン館池袋本店では、薄型テレビとデスクトップを隣り合わせの売り場で販売する。「このところ、薄型テレビかテレパソかで迷う来店者が増えている」(同店 店長代理の斉藤大介氏)。さらに、6月にはサッカーのワールドカップも始まる。アテネオリンピックが開催された2年前の夏商戦では、デジタル家電に需要が流れてパソコン販売が伸び悩んだ。その二の舞になる恐れもある。

攻めるシャープ、富士通

 テレパソを核とする、各社の夏商戦に向けた取り組みは、下図のようにさまざまだ。シャープは液晶テレビで圧倒的な知名度を誇る「AQUOS」にパソコン付きモデルを投入。逆にノートパソコン「Mebius」は1モデルに留めるという、思い切った戦略に出た。富士通は従来から進めているテレパソの大型化で薄型テレビに正面から挑む。春モデルでは32インチ液晶搭載モデルを販売していたが、夏モデルでは37インチまでラインアップを拡充した。

【テレビ機能付きパソコン、各社の取り組み方はまちまち】

 薄型テレビとのすみ分けを模索するメーカーもある。ソニーが提唱するのは、パソコンを使いながら画面の端に小さくテレビ映像を映す「ながら観」である。「必ずしもすべてのパソコンがテレビチューナーを内蔵する必要はなく、テレビやDVDレコーダー、映像サーバーなどから無線LANで映像を送信し、各パソコンで観られればそれで良い。大きく美しい映像は薄型テレビで、小画面でのながら観はパソコンでという分担を目指す」(ソニーマーケティング ITマーケティング部 VAIOMK課 統括課長の北村勝司氏)。

 NECはテレパソに対し様子見を決め込む。同社が夏モデル発表会で強調したのはテレビ機能の強化ではなく、インターネットとの連携サービス。大型液晶モデルも32インチで据え置いた。代わりにメモリーを他社より増やすなど、パソコンとしての使い勝手向上を実直に進める。

 各社各様の戦略が吉と出るか凶と出るか。商戦ピークを迎える6月ころにはすう勢が判明する。