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 取材・執筆に大活躍してくれた我がPowerBook G4 12インチ。老朽化というよりも、約3年間毎日肌身離さず持ち歩いた結果、完全に疲弊してしまい、ますます愛すべき存在となった。

 ディスプレイを閉じてもラッチははずれてしまっているから、閉まらない。足のゴムは一ヶ所取れてキーを叩くたびにボディがガタつく。電池の持ちが1時間を切るようになってしまったから、新品と交換。Webブラウジングには我慢できるスピードを出してくれるものの、オーディオや写真、ビデオデータの編集にはイライラさせられる。そろそろ、交代要員がほしいと思っていたところに、IntelのCore Duoチップを搭載したMacBookが登場してきた。プレスリリースによると「12インチPowerBookより最大4倍の性能を発揮」。私の愛用マシンは、ここで比較対象にしている1.5GHzマシンよりも遥かに非力な初代の867MHz版だから、単純計算すると8.25倍速い!! ついに買い替え時到来だな。

 しかし、実際に手を出す前に、やはり、製品企画に直接タッチしている担当者に直接話を聞いておかなければ。2006年5月16日夜(日本時間)の発表に合わせて来日した米アップルコンピュータのDavid Moodyワールドワイド ハードウエア プロダクトマーケティング担当バイスプレジデントに新製品について聞いた。

David Moody(以下、DM) 2006年1月以来、Intelのチップを採用した製品を順次発表してきました。1月11日にはMacBook Pro、iMac、4月24日には17インチディスプレイを搭載したMacBook Pro、3月にはMac miniを送り出しました。今回の製品は、iBook G4、そして12インチディスプレイ搭載のPowerBook G4のユーザーをターゲットにしたものと考えてください。

 MacBookはiBook G4 1.42GHzと比べて5.1~5.7倍、12インチ(1.5GHz)のPowerBookと比べても4.8~5.3倍程度スピードアップしています。ディスプレイもこの機種から13インチとなり、表面がつるつるしたクリアワイドスクリーンディスプレイを搭載しています。先代のiBookと比べ79%も明るく、表示領域も30%広がりました。黒が引き締まって、文字通り、クリアに映像表示できます。解像度は1280×800ピクセルです。

--日本のパソコンでは既に表面がつるつるしたディスプレイはよく見かける存在ですが、なかなか採用しなかった理由は?

DM ユーザーに満足してもらえるパネルの品質が整ってくるのを待っていたのです。従来製品では、見た目はきれいな画像だけどパネルへの写り込みが激しいもの、見る角度の違いで色合いなどが変わって見えるものなど、私たちが想定しているユーザーに満足してもらえないものが多かった。これならDTP目的などでもしっかり使ってもらえるようになったと思っています。MacBookではこのタイプが標準に付いて来ます。MacBook Proでも、AppleStoreで選択購入できるようにしました。

 ディスプレイは本当に明るく、きれいな印象だ。家族の写真やDVDを楽しむにはとても華やかで素晴らしい。しかし、写真家や動画編集を行うユーザーでは意見が分かれるかも知れない。作業環境により、天井の照明が映り込んだり、屋外では景色が映り込んだりするかも知れない。生産機材としてMacを使うユーザーなら、作業環境に合わせて、最適なディスプレイを選ぶことも必要だ。MacBook Proの場合、クリアワイドスクリーンを選択しても、価格は変わらない。

--デザインはとても引き締まったものになりましたね。

DM 従来のiBookに比べて約20%薄くなりました。従来のiBookのキーボードの厚さと同じくらい。機動性の高さ、デザインのシャープさが際立っています。ディスプレイはラッチで固定するのではなく、磁石でしっかりと留める方式です。できるだけ、機械的な稼働部分をなくすことで故障しないように作りました。

 電源コードも磁石でくっつける「MagSafe」を採用しており、形状はMacBook Proと共通です。したがって、差し替えて使うこともできますが、電源アダプターの容量がMacBookの方が小さいので、MacBook ProにMacBookの電源コネクターを付けて使うと、充電時間などが余計にかかってしまいます。バッテリーを取り外すと、簡単にメモリの増設、ハードディスクの交換などができるようにもなりました。(下写真)

MacBookのメモリー差し替えの様子。裏面、バッテリーをはずすと、メモリーの増設やハードディスクの交換などが簡単にできるようになった裏面、バッテリーをはずすと、メモリーの増設やハードディスクの交換などが簡単にできるようになった。

 ディスプレイを閉じるためのラッチが無くなったのは、とても嬉しい改良だ。何しろ、私のマシンはこんな状態だ。

長い酷使に耐えてきた私のPowerBook G4 12インチ。ディスプレイを閉じて固定するラッチが取れてしまったので、持ち運ぶ場合はビニールテープで止めなくてはならない。長い酷使に耐えてきた私のPowerBook G4 12インチ。ディスプレイを閉じて固定するラッチが取れてしまったので、持ち運ぶ場合はビニールテープで止めなくてはならない。

 ラッチが取れてしまっているので、移動時にはご覧の通り、ビニールテープでフタを閉め、持ち歩く。どうしてもぴたっと閉まらなかったりして、移動中に電源が入ってしまうこともある。背中のデイパックが妙に暖かいなと思ったら、スリープから目覚めていて、慌ててフタをするなんてことが幾度もある。

 フタの開閉が何度か起こると、ログイン画面が出てはスリープするという動作が繰り返され、いざ使おうと思うと、何重にも重なったスリープ状態を繰り返し解除しなければならない。金具一つだ、こんな簡単なもの修理しちゃえば、と思っても、PowerBookの場合、ラッチを取換えるだけで、ディスプレイごと交換となり、10数万円の出費となる。こんな私にとってはその改良が一番嬉しいかも知れない。しかし、そんな壊れやすいものをこれまで放置していたAppleも大いに責められる存在であるのは確かだ。


--特に黒は精かんな感じがしていいですね。

DM つや消しの黒のポリカーボネート素材を使ったこのデザインはいろいろ自慢するところがあります。まず、しっとりとした素材で、触っても指紋の痕が付きにくい。他のパソコンによくある、「黒塗り」ではなく、素材そのものが黒い材料を使っています。したがって、もし、堅いものでひっかき傷が付いたとしても、塗りがはげるなんてことはありません。コネクタ部分をみて下さい。中の付属部品素材も黒で揃っています。こんな凝り方がAppleスタイルです。

MacBookきょう体黒 MacBookのコネクタ

--Macはハイビジョン映像(HDD)などを編集するには持って来いのパソコンです。無料で付属しているiMovieでHDD映像を編集することもできます。ただ、ハイエンドユーザーは悩ましいですね。MacBookにFinal Cut Proをインストールすればかなりのこともできますが、どっちを選ぶべきか迷います。

DM そういう選択は適材適所を求めてください。撮影現場でちょっとだけ状況を確認したいのか、本格的な編集をその場でしてしまいたいのか。本格的な編集を求めるのでしたらやはりMacBook Proでしょう。しかも、大量の映像を編集するのならFireWire 800ポートを備えた17インチのMacBook Proになるでしょう。しかし、そこまで「業務性能」を求めないのでしたらMacBookをどうぞ。具体的にアプリケーションでベンチマークした結果、PowerBook G4 12インチの4倍は速いマシンですから、遥かに快適な環境が作れるのではないでしょうか?

 実はまだ、AppleStoreでおざなりにしか触っていない状態だが、Webブラウジングや最近はやりのAjaxなアプリケーション、たとえばGoogleマップなどを試すと、まさにすべすべの使用感が感じられる。私が今使っているPowerBook G4 12インチ(867MHz)ではぎくしゃく、つかんで動かすと、ときどき突っかかる感じがするが、MacBookならスルスル動く。

 Intelチップ向けに最適化されたソフト(Universal Binaryと呼ぶ)なら、Appleが発表しているように4倍から5倍は速く動いてくれる。GarageBandのようにサウンドを扱うようなアプリケーションではメリットが大きい。

 驚くのはMicrosoft ExcelなどPower PC版ソフトの動作だ。まだIntel Mac向けに最適化されていないアプリケーションも1.5倍から2倍くらい高速で動作する。これなら、Universal Binary版を待たずに移行しても不満はでない。Moody氏が言う通り、G4マシンから移行すればかなり快適な環境を手にすることができるかも知れない。ただし、グラフィックスソフトを中心に使うユーザーならもう少し様子を見る必要があるかも知れない。とにかく、自分が使うソフトに関して、どの程度環境が良くなるかを具体的に調べてみる必要はあるだろう。

 どうしてもIntel Mac向けに最適化されたアプリケーションが出てこずに困るといった場合は、前回、このコーナーで取り上げたParallels Desktop for Macを動かし、その中でWindowsソフトを「フルスピード」で走らせるという手もある。すでにWindowsマシンを使っていて、手元にソフトがあるという人にとっては、このやり方も要検討だ。

 さて、私の場合、そろそろ、買い替え資金を準備するかな?