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 「アダルトサイトから無料と書かれた画像をダウンロードしたら料金を請求された」「ネットオークションで商品を落札して代金を支払ったが、納品前に業者から破産したとのメールが届いた」……インターネットを使った詐欺が増加している。警察庁によれば、2004年のサイバー犯罪検挙件数は2081件。これは前年比約13%増、2000年と比べると2倍以上の数字だ。問い合わせ件数だけなら7万614件(前年比約70%増、2000年と比べて約6倍以上)に達し、うち50%が「詐欺・悪質商法」、19%が「インターネットオークション」に関する問い合わせだという。

 ネット詐欺増加の背景には、インターネットおよびブロードバンドの一般化がある。「現実世界の詐欺師には身なり、振る舞いまで含めた演技力が問われる。それが必要ない分、インターネットは悪意ある者が詐欺行為を働く敷居を下げたといえる」(弁護士の尾崎孝良氏)。詐欺メールの送信などの罠への誘導も、インターネットを使えば現実世界より大幅に安く済む。インターネットは犯罪者にも便利な道具なのだ。警察庁生活安全局情報技術犯罪対策課の増山芳邦理事官は「詐欺サイトを構築する専用ツールなどがネット上で出回っている。サイバー犯罪はツールがあるので模倣犯が出やすい」と話す。

 ネット詐欺には多数の種類(下図1)があるが、4~5年前と比べると主流となる手口に変化が見られる。例えば、「以前に流行した不正自動架電(ダイヤルアップ接続先の電話番号が国際電話などに勝手に書き換えられ、後に高額請求が届く)やネズミ講に関する問い合わせは、現在では減少している」(国民生活センター相談調査部の水越智子氏)。

【ネット詐欺の手口は多様化している】
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ワンクリック詐欺が急増

 逆に増加しているのがユーザーに不正な請求をする手口だ(図2)。国民生活センターによれば、特に2004年末頃からワンクリック詐欺と呼ばれる手口の問い合わせが急増している。

【国民生活センターに寄せられた問い合わせ件数の変遷】
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 もう一つ増加傾向にあるのは、インターネットオークションでのトラブルだ。さらには、官公庁/警察/金融業界などが大きく問題視している手口に、銀行など金融機関をかたってユーザーの個人情報を盗むフィッシング詐欺がある。

 こうしたネット詐欺に対しては、社会全体で防止していく仕組み作りが必要だ。しかし、個々のユーザーがネット詐欺にひっかからないように意識を高めることも重要。

 例えば外国を旅する場合を考えてみよう。夜中の裏通りを一人で歩かない、貴重品はホテルの金庫に預けておく……などの原則は、観光ガイドを読むまでもなく分かる。事情はインターネットでも同じ。アダルトサイトばかり巡回し、掲示板で怪しいリンクのクリックを繰り返せば、危険に出会う確率は高くなる。「自分だけは大丈夫」という油断は禁物だ。

 今回の特集では、最近注目されている不当請求、フィッシング詐欺、オークション詐欺の3点に焦点を当て、それらの代表的な手口とユーザーが取り得る対策について解説する。知識を身につけて日ごろから注意すれば、詐欺に遭う危険性はかなり減る。しかし万一、詐欺被害に遭遇したら、自分自身で解決しようとしたりせず、まずは電話やメールで専門家に相談しよう(下図3)。

【困ったときはこんなWebサイトを参照】
国民生活センター
警察庁 サイバー犯罪対策
警視庁
インターネットホットライン連絡協議会
インターネット消費者被害対策弁護団
図3 企業を相手とする消費関連全般の問題は国民生活センター、詐欺や恐喝などの場合は警察、訴訟などの場合は弁護士に相談してみよう。オークションでトラブルがあった時は、運営業者にも連絡する