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 「落札した方が都合が悪くなったとのことで、取引できなくなってしまいました。その方を削除して繰上げしてもいいのですが、その方に悪い評価が付いてしまうため削除はしていません。そこで、次点のあなたと取引したいと思っているのですがいかがでしょうか。価格は落札価格よりも値引きさせていただきます」。

 多くの入札があった注目のオークションで、残念ながら競り負けてしまった安藤さん(仮名)に、出品者からこんなメールが届きました。出品物は安藤さんがとても欲しかった物です。しかも、落札価格よりも値引きしてくれるというのです。安藤さんは喜んで取引を承諾することにしました。メールで連絡を取り合い、自分の住所などを伝えて、振込先の銀行や口座番号を確認。すぐに指定の金額を口座へ入金しました。あとは品物が届くのを待つばかりです。

 ところが、数日経過しても届きません。心配になってきた安藤さんは、入札で競り負けたオークションをのぞいてみました。すると、出品者は一位の人と取引していて、すでに評価も入っているではありませんか。「あれ、おかしい」と思った安藤さんは、出品者に問い合わせのメールを送ってみました。ところが、いくら待っても返事がありません。数回メールを送っても全く反応がありません。しかし、オークションをのぞいてみると、他の品物を出品してオークションを続けています。

 そこで、今度は別の出品物の評価欄を使って出品者に質問してみました。すると、出品者からは「自分はそんなメールを送ってはいません」という返事がきました。そのメールを送った人は別人だというのです。ここで初めて安藤さんは、だまされたことに気付いたのでした。取引を持ちかけたメールの送信者はネット詐欺師だったのです。オークションを通していない取引は、補償の対象外となってしまいます。金額もそれほど大きくなかったことから、しぶしぶあきらめることにしました。このように、オークションで次点のユーザーを狙うことから「次点詐欺」「繰り上げ詐欺」と呼んでいます。

 オークションでは、出品者が一位の入札者を削除しない限り、二位以下の入札者のメールアドレスは出品者には分からないようになっています。では、なぜ出品者でもないネット詐欺師が、安藤さんにメールを送れたのでしょうか。

 それは、オークションで使用しているユーザーIDとメールアドレスが同じだったからです。例えば、ヤフー(Yahoo!JAPAN)なら、ヤフーIDを登録してユーザーIDとして使用します。仮にこのIDが「npc」だったとします。するとネット詐欺師は、オークション画面に表示されているnpcというIDから、メールアドレスを「npc@yahoo.co.jp」と推測し、メールを送っているのです。

 「yahoo.co.jp」は、ヤフーのフリーメールのアドレスで使用します。ネット詐欺師は、ヤフーIDとフリーメールのアドレスを同じにしているユーザーが多いことを知っているのです。

 落札価格よりも安く買えるという"おいしい話"は普通に考えてあり得ません。ネット詐欺師からのメールを受け取らないためにも、ユーザーIDとメールアドレスはそれぞれ異なるものにしましょう。

賢者の教訓! 競り負けた後にうまい話はない