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 ロボットと人間の共存が、ようやく技術マターとして語られるようになった。現在は、ヒューマノイド型が注目されているが、他にも特殊作業をこなすロボットやマイクロマシンなど、多岐にわたるロボットの研究開発成果が形になり始めた。

 こうしたロボットの発達に欠かせない重点シーズとしては、(1)ネットワーク利用遠隔・分散システム構築、運用技術、(2)ナノハンドリング技術、(3)感性インターフェイス・人間行動理解技術・シミュレーション技術・バーチャル・リアリティ、(4)ロボットビジョン、(5)移動技術、などが台頭している。こうした技術は、ロボットとしてのモビリティ開発へも確実に発展していくはずである。

 まず、労働力不足への対応および安全性向上のため、ロボット技術等の利用により、車両、構造物、線路、電車路等の検査・保守の効率化・自動化が、もこれから確実に普及するだろう。小型微小な力計測センサー、小型軽量の変速機、小型軽量大容量のパワー源、高コンプライアンスアクチュエータ、筋肉に類似したアクチュエータ(分布型、低速型、リニア型、小型)などの開発は、さまざまな環境を歩行することができる多様なロボットを実現させるだろう。

 インターネットを経由した遠隔操作支援情報生成技術、歩行・ハンド操作自律実行技術、遠隔操作サーバ・クライアント技術などが組み込まれたこうしたロボットの重要なアプリケーションの一つが、都市やビル内の巡回警備、施錠確認などの警備ロボットである。道案内や街の情報を教えてくれる様々なロボットが町中で稼働しているのだ。

 犯罪や事故、災害を未然に防いだり、いち早く発見して重篤な被害を回避する、パトロールロボットは、トラブルを発見すると、自動車を自動停止させたり、緊急時は警察や病院などに、すぐにエマージェンシーコールを通報してくれる。また、その時期には、測位・通信用人工衛星を介して位置情報を取得し、目的地まで自走するロボテクス車椅子なども実現しているに違いない。

 そして、その延長として、作業者の安全を確保するために、製造プロセスの危険作業や極限作業を行う作業支援ロボットも普及しよう。運転中の発電所や化学プラント等の設備点検保守を行う人間型ロボットは、人が近づけない設備の点検や危険な作業もプラントを停止することなく行なえるようになり、運転時間の短縮・延長もフレキシブルなものになる。 

 こうした作業支援ロボットは、特に建設現場において大きな力を発揮する。建築現場の作業には、熟練技能者と経験の浅い作業者が共同で建築部材などを運搬するといった作業がある。この作業に人間型ロボットを使うことで省力化、コスト削減などが実現するからである。

 もう一つの重要なニーズは、高齢化が進む時代にあって、被介護者に不快感・不安感を与えず、入浴等について介護者を支援する介護ロボットとしての利用である。それらは、介護者の負担を軽減するだけでなく、被介護者の心の負担をも減らすことができるのだ。

人間生活技術戦略イメージ図「くらしとIT・ユビキタス技術」
(資料提供:独立行政法人新エネルギー・産業技術総合開発機構)

 例えば、高齢者や身障者が介助者なしに、食事、入浴、排泄、娯楽等を自ら行なうことを支援するロボット、そしてその制御装置の組み込まれたロボテクス住宅なども形になるはずである。そこでは、音声や電動ベッドに付けられたスイッチに反応して、寝たきりの人のベッドまで自走し、排泄後はトイレスペースの所定位置まで戻るシャワートイレロボットや、車椅子で移動中にものを取ったり、拾ったりするための軽量、多関節のマニピュレーターが付いたロボテクス車椅子、そして起きあがり、寝返り等の補助機能がついたロボットタイプの電動ベッドなども普及しているだろう。そのベッドは、脈拍、血圧、体温などのバイタルサインも定期的に測定し、住居内モニタへの投影や、遠隔医療機関への配信も可能である。ロボティクス電動ベッドが定期的に測定したバイタルサインが自動的に家族のいる室内に映し出され、見守りロボットがその情報を、ホームドクターや遠隔地にいる家族に転送するのである。

 こうした介護ロボットの進展は、次に家庭に一台、掃除、洗濯を行なう「お手伝いロボット」などへと進化する。ホームサーバーを介して、家庭内のさまざまなロボットや情報家電とつながり、状況を見守りながら危険を知らせたり、インターネットを介して、遠隔地の見守りロボットとも情報交換を行い、居ながらにして、故郷の祖父母の様子をいつでも知ることも可能になる。また、障害物等を避けながら動く自走式のお掃除ロボットは、仕事や作業時、外出先からもウエアラブル端末で操作でき、サーバーに蓄積された居室マップに従い、自動清掃も可能となるのだ。

 すでに、厚みが1mmにも満たない、紙のように薄いディスプレイなども開発されている。消費電力も液晶の100分の1以下と低く、省エネ性が高いこと、折り曲げたり、いろいろな加工できるため、ICカード、携帯端末、家電品など様々な製品にディスプレイを搭載することも可能になる。腕時計型やブローチ型など、手軽に身に着けられるこうしたウェアラブル端末が普及すれば、インターネットやホームサーバーに外出先から容易にアクセスできるようになる。ホームサーバーにアクセスすれば、家庭内ロボットを操作し、帰宅時間に合わせてお風呂にお湯張りをさせたり、買い物の途中でICタグの貼られた家の冷蔵庫の中味を確認することなども可能になる。

 このように、ホームサーバーを介して、家庭内のマップ情報を取得できれば、食器の片付けや洗濯物の取り込み、荷物の移動などの家事を補助する複数作業支援ロボットも様々に台頭しよう。ヒューマノイド型のロボットとして複数の作業をこなすロボットが市販され、庭の手入れ、病人介護、家事、育児など様々な目的に応じたロボットをリースする、新しいサービスビジネスなども生み出していくはずである。それらは、オフィスや商業施設、公共施設などで受付や施設の案内をする、接客・コミュニケーションロボットとしても活躍することだろう。

 こうしたロボットにはさらに、災害大国・日本ならではの活躍の場が与えられよう。火災時の消火活動などにロボットが導入され、火災現場での人間識別、及び救助への利用を、海外貢献として日本から発信するのである。