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 21世紀の社会を支える技術開発にとって、環境負荷をいかに低減するかというもう一つの巨大な課題がある。そのため、省エネルギー化や新エネルギーの利用が促進されているのだが、なかでも大きな期待を寄せられているのが、水素と酸素で発電する「燃料電池」である。

人間生活技術戦略イメージ図「地球とエネルギー・環境技術」
(資料提供:独立行政法人新エネルギー・産業技術総合開発機構)

 こうした燃料電池の開発は、国の「ニューサンシャイン計画」のもとで推進され、「リン酸形燃料電池」「溶融炭酸塩形燃料電池」「固体酸化物形燃料電池」「固体高分子形燃料電池」などの要素技術開発、発電システム技術開発などが行われてきた。リン酸型は、業務用、工業用などですでに導入普及段階にあり、自動車や家電メーカーを中心に実用化開発が活発化しているのが、固体高分子形燃料電池である。

 電解質に用いられる技術革新も進んでいる。日立製作所は、新しい電解質膜として「芳香族系炭化水素膜」を開発した。一般的な燃料電池の例のようにフッ素系の膜を使う場合、内部に水のクラスタが形成され、水素ではなくメタノールを燃料として使うダイレクトメタノール燃料電池では、反応しないメタノールが水と一緒にプラスの方に動いて酸化されてしまう。つまり、ムダが生じるという弱点があり、コスト的にも高い。

 しかし、日立が開発した電解質膜では、フッ素系膜のような水のクラスタは形成されず、そのコストも低い。最近開発が活発化している携帯用の燃料電池は、ほとんどがダイレクトメタノール系であるため、その分野での利用が期待されているのだ。日立ではすでに、「炭化水素系膜/電極接合体」で、四〇〇〇時間の連続運転も実現して話題を呼んでいる。