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 松下電気産業のデジタル一眼レフカメラ「DMC-L1」の発売日と価格がついに決まりました(関連記事)。2006年7月22日の発売で、独ライカと共同開発した高性能なレンズが付属して実勢価格は約25万円。普及価格帯であり、最も人気の高い10万円前後の製品と比べると倍以上もします。

 果たしてこの製品がどれだけ一般ユーザーの心を惹き付けるのでしょうか。この製品の最大の魅力は付属のレンズにありますが、個人的には、なぜカメラ単体を12万~14万円程度で発売しないのか不思議で仕方がありません。

 この夏、デジタル一眼レフ市場はキヤノンとニコンのシェアを奪いに行くにはもってこいの舞台になっています。キヤノンの「EOS Kiss Digital N」とニコンの「D50」は、どちらも1年以上前の製品。売れ続けているとはいえ、両製品はどうしても新鮮味に欠けます。

 このような状況下、普及価格帯で真っ向勝負してきたのがソニーです。新規参入第1弾製品の「α100」は、本体のみで10万円、レンズセットで12万円。製品的には、まだソニーらしさが出ておらず、コニカミノルタ製品のカラーが強いものの、同社のブランド力と宣伝力、そして「α100」に対する意気込みはあなどれません。キヤノンとニコンのニ強の牙城を崩す可能性は十分あります。

 派手な宣伝活動はしていないものの、ペンタックスも7月下旬に、ソニーの「α100」と同様に撮像素子を動かして本体内部で手ぶれを補正する機構を持つ「K100D」を発売する予定でいます。実勢価格は本体のみで7万5000円になる見込みで、レンズセットも9万円で購入できます。しかも、10月15日までに購入した人にはメーカーから1万円のキャッシュバック。安いだけでなく、すべてのレンズで手ぶれ補正が効くとなれば、ペンタックス製品を選ぶ人も増えるでしょう。

 松下もこの市場の動きに合わせて、普及価格帯でシェアを奪いに行けばいいんです。けれども、同社はあえてそれをしませんでした。ハイアマチュアユーザー、特にライカファンに絞った製品戦略をしてきたのです。10万円の製品を検討している人が、25万円の製品に目が行くとは思いません。せめて、本体だけでも比較対象になる価格(個人的には12万~14万円、レンズセットで15万円は切ってもらいたい)で発売すればいいのにと思ってしまうのはおかしいでしょうか。「まずは使ってみて、そしてデジタル一眼にはまったらライカレンズに手を出してみて」というアプローチだってありだと思います。

 さらに言えば、松下はコンパクトデジカメで築いた強力なLUMIXブランドを持っています。これを生かさない手はありません。特に根強い人気を誇る12倍ズームのFZシリーズからの買い替えや買い増し需要に対して、なんの手立てもないのは非常に惜しい。28mmの広角モデルを宣伝力でヒットさせた経験を持つ同社なら、「Ayuは一眼も使いこなせる」というキャッチフレーズで今までデジタル一眼に見向きもしなかったユーザーを獲得することだってできるはず。玄人好みの製品は、1年後に発売しても確実に特定の層に売れます。やはり市場が盛り上がる今の時期に、普及価格帯の製品を投入することに意味があると思うのです。

 蛇足ですが、コニカミノルタが2004年11月にデジタル一眼に初参入したときも、同様の気持ちを抱いた記憶があります。キヤノンとニコンに遅れてようやく登場したコニカミノルタの「α-7 DIGITAL」は、機能的には素晴らしいものがありましたが、ハイアマチュア向けに実勢20万円で登場したため、主に従来のミノルタユーザーにしか売れませんでした。その翌年の8月に「α-Sweet DIGITAL」を実勢10万円で出したものの、インパクトは既に弱くなっていました。なぜ先にα-Sweetのデジタル版を出さなかったのか。ミノルタユーザーでもある私は、今でも残念でなりません。