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 小売業を営む人が、最も神経を使うのが「在庫」。顧客が買いたいと思ったときに商品が無ければ売れる機会を失い、逆に在庫を持ちすぎると最悪の場合には見込み違いで売れないリスクが発生する。このコントロールが難しい在庫を一切持たずにお店を開けるという、夢のようなネットビジネスに今、注目が集まっている。それが「ドロップシッピング」だ。

「売る」ことだけに専念できる

 ドロップシッピングを簡単に言うと、“他人の商品をあたかも自分の商品のように売る”ビジネスモデル。この販売形態では、ECサイトのオーナーの手間が大きく軽減される。契約しているメーカーや卸売業者から商品情報(画像や商品説明)のみ提供してもらい、仕入価格に利益を上乗せして商品価格を決め、自分のサイトに商品を並べるだけだからだ。サイトの訪問者が商品を注文すると、メーカーや卸売業者に情報が渡り、商品が直接発送される。料金の回収も代行するので、ECサイトのオーナーは後から売れた商品の利益を受け取るだけ。つまり、ECサイトのオーナーは、“売る”ことにだけ専念すればよい。

【ドロップシッピングの大まかな仕組み】
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【夏から秋にかけて各社参入】
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 米国では既に定着しているドロップシッピングだが、日本ではさまざまな企業が今夏から秋にかけて参入する見込み。リアルコミュニケーションズは7月20日より個人向けドロップシッピング事業を開始。サイバーエージェントはドロップシッピング関連事業を行うストアファクトリーという100%子会社を設立。「ミセつく」というサービスを10月1日に開始する予定だ。

 いいことづくめに見えるドロップシッピングだが、個人が始めるに当たっては懸念もある。まず、特定商取引法に基づく表記の問題。“ネットで副収入”の代名詞になりつつある「アフィリエイト」は成功報酬型広告。つまり、実際に販売は行わない。一方、ドロップシッピングは在庫を持たなくてもあくまでもECサイトであり、販売主体となる。取り扱う商品によっては特定商取引法に基づき、自らの氏名や住所などの表示義務がある。そして、商品に欠陥があった場合などには、賠償責任こそ負わないまでも、商品回収の協力といった何かしらの責任が発生する。

 もう一つは、健康食品の紹介をした場合など、薬事法などの法律に抵触する人が出てくる可能性がある点。売りたいがために、軽い気持ちで「飲めば必ず治る」「疾病に効果がある」などの表記をすると、即、薬事法違反。有罪になれば懲役や罰金などの罰則を科せられる。

 いずれも、ECサイトのオーナーであれば当然持っている知識だが、アフィリエイトと同じ感覚で始める個人ユーザーにとっては、意識が低い部分といえる。

 ドロップシッピング事業を始める企業は、「ユーザーへの啓蒙活動は必須」(サイバーエージェントの西條晋一専務)と予測される事態は織り込み済み。ドロップシッピング市場は期待と不安が交錯するなかで立ち上がっていく。