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 CPUやメモリーの高速化は進んでいるものの、ハードディスク(HDD)のデータ転送速度はあまり向上していない。例えばCPUがデータを要求した場合、メモリーならば数十ナノ秒(1ナノ秒は10億分の1秒)のタイムラグでデータを送れるが、HDDでは十数ミリ秒(1ミリ秒は1000分の1秒)もかかってしまう。単純に計算すれば、HDDはメモリーよりも、数十万倍遅い。さらに、HDDは消費電力も小さくない。

 このHDDの弱点を克服して、パソコンの高速化、省電力化を図るために、USBメモリーやメモリーカードなどに使われている「フラッシュメモリー」を利用しようという動きが活発になっている。フラッシュメモリーは、パソコンのメインメモリーに使われているDRAMとは異なり、電源をオフにしてもデータを保持できるという特徴を持っている。データの読み出しが数百ナノ秒と、HDDよりも速い上に、消費電力が低い。機械部品がないため、衝撃にも強いというメリットがある(下図)。

【フラッシュメモリーの利点は】
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HDDレスPCも登場

【オールフラッシュの製品が登場した】
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 このフラッシュメモリーをHDDの代わりに使っている製品がすでに登場している。ソニーが2006年7月に出荷を開始した「VAIO type U VGN-UX90」シリーズのゼロスピンドルモデルだ。「フラッシュメモリーを搭載したことで、OSの起動などが高速化し、携帯ノートに重要な省電力化・軽量化をもたらした」と同社は胸を張る。カタログ値では、HDDモデルに比べ、バッテリー駆動時間は3.5時間から4時間に延び、重さも520gから492gと軽量化している。

 ただし、パソコンのHDDを置き換える動きが広まるのは、まだ先になりそうだ。最大の課題はコストである。フラッシュメモリーを搭載した携帯音楽プレーヤー「iPod nano」がヒットしたことなどで、フラッシュメモリーの供給は増え、市場での価格は「容量によっては、ここ1~2年で3分の1程度に下がった」(日立超LSIシステムズ)という。とはいうものの、1GBあたりの単価は、HDDが30~50円程度なのに対し、フラッシュメモリーチップは1500~2000円前後で推移しており、HDDよりもかなり高価なのが現状だ。実際、前述のVAIO type Uでは、16GBのフラッシュメモリーを搭載した製品は、20GBのHDDを搭載した製品よりも6万円以上も高い価格になっている。

HDDとのハイブリッドで利用

 現時点では、HDDの代わりにフラッシュメモリーをパソコンに搭載するというのは、コストを考えると現実的ではない。そこで、HDDとフラッシュメモリーを組み合わせて高速化や省電力化を図るという技術がマイクロソフトやインテルから提唱されている。いずれも2007年には製品化される予定だ。デスクトップ、ノートともに利用できる技術だが、当初は省電力化が重視されるノートパソコンで使われるようになる見込みだ。

 マイクロソフトが提唱しているのは「ReadyDrive」と呼ぶ技術。フラッシュメモリーを内蔵したHDD(ハイブリッドHDDなどと呼ばれる)を使う。OSの起動時に読み出されるプログラムや、よく使うアプリケーションをフラッシュメモリーに記録しておくことで、OSやアプリケーションの起動速度を速められる。プログラムの読み出しがフラッシュメモリーへのアクセスのみで済めば、HDDを動かさなくて済むので省電力にもなる。さらに書き込み時も、フラッシュメモリーにいったんデータを記録してから、まとめてHDDへ転送するので、HDDの稼働時間を短くでき、やはり省電力化になる。