ExcelのVBAは高い柔軟性とポテンシャルを備えている。だがその一方で、機能を悪用すればウイルスを作成できるなどの危険性も併せ持っている。Excelにはマクロを無効にするなどの防衛策も用意されていたが、Excel 2007ではそうしたセキュリティ機能も強化されている。ここでは、新設された「セキュリティセンター」と、新しく追加されたセキュリティ機能を紹介しよう。
セキュリティに関する設定を集結したセキュリティセンター
マクロを有効にするかどうかを決めるマクロセキュリティは、セキュリティセンターで設定するようになった。セキュリティセンターを開くには、Excelの「オプション」ダイアログボックスで「セキュリティセンター」を選択し、「セキュリティセンターの設定」ボタンをクリックする。
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図1 各種のセキュリティを1カ所で設定できるセキュリティセンター |
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セキュリティセンターでは以下の機能に対して個別にセキュリティを設定できる。
信頼できる発行元
マクロに添付されるデジタル署名のうち、信頼できる発行元を登録できる。旧バージョンの「ツール」-「マクロ」-「セキュリティ」の「信頼できる発行元」と同じ。
信頼できる場所
XLSTARTフォルダなど、信頼できるマクロを保存しているフォルダを登録できる。Excel 2007では任意のフォルダを設定できるようになった。
アドイン
アドイン形式のマクロを有効にするかどうかの設定。Excel 2007では詳細に設定できるようになった。
ActiveXの設定
ブックに埋め込まれたActiveXコントロールを有効にするかどうかの設定。Excel 2007で追加された設定項目。
マクロの設定
マクロを有効にするかどうかの設定。旧バージョン「ツール」-「マクロ」-「セキュリティ」の「セキュリティレベル」と同じ。
メッセージバー
マクロを無効にしたときメッセージを表示するかどうかの設定。Excel 2007で追加された設定項目。
外部コンテンツ
外部のデータにリンクが設定されていたとき、そのリンクを有効にするかどうかの設定。旧バージョンの「編集」-「リンクの設定」-「起動時の確認」と「データ」-「外部データの取り込み」-「データ範囲のプロパティ」に該当する。
プライバシーオプション
Microsoftに対するプライバシーについての設定。旧バージョンでは、作業ウインドウから「オンラインコンテンツの設定」や「リサーチの設定」などを設定できた。
今までは機能ごとに設定場所が分散していたセキュリティ機能が、セキュリティセンターに集約されている。設定できる項目の多くは従来と変わらないが、いくつか新しいセキュリティも追加された。ここでは「信頼できる場所」「アドイン」「ActiveXの設定」を紹介しよう。
任意のフォルダを指定できるようになった「信頼できる場所」
開こうとしたブックにマクロが含まれている場合、開く前にそのマクロが安全かどうかを判断することは難しい。そこで「このフォルダに保存されているマクロ(ブック)は安全」というように、ブックの保存場所で管理する仕組みが「信頼できる場所」だ。
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図2 このフォルダに保存されているマクロは安全だと判断できる「信頼できる場所」 |
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このように特定のフォルダを信頼するという仕組みは旧バージョンでも採用されていたが、Excelを起動するときブックが自動的に読み込まれる「XLSTARTフォルダ」などあらかじめ決められたフォルダが適用されていただけで、ユーザーが任意のフォルダを指定することはできなかった。Excel 2007では「信頼できる場所」に任意のフォルダを指定することができる。新しい「信頼できる場所」を登録するには「新しい場所の追加」ボタンをクリックする。
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図3 指定した場所のサブフォルダを信頼することもできる |
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社内ネットワークなどでブックを管理している場合は、ネットワークドライブ上のフォルダを指定したいこともある。通常は「信頼できる場所」にネットワークドライブを指定できないが、「自分のネットワーク上にある信頼できる場所を許可する」チェックボックスをオンにすることで指定可能になる。
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図4 通常は安全のためネットワーク上のフォルダを「信頼できる場所」に登録できない |
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