MacのCPUがIntelチップになったからかどうか定かではないが、従来利用不可だった周辺機器が、最近になってつながり始めるものが増え、利便性や楽しみがレベルアップしてきた。各種USB機器、特に先月手に入れた腕時計型GPS装置はついつい三日坊主になりがちな私のワークアウトを楽しくサポートしてくれ、楽しみがまた増えた。
新聞にまでGPS人気が報じられるほどに
GPSとはGlobal Positioning Systemの略。全地球測位システム、汎地球測位システムとも呼ばれ、地球上の現在位置を調べるための衛星測位システムだ。
リアルタイムで現在位置を地図上に表示するのが車などに搭載されているカーナビ、簡易版は携帯電話にも搭載されている。これはもう既にポピュラーな存在となっているのは皆さんご存知の通り。
一方、現在位置データを刻々と記録し、時間的遷移を計算して、移動距離や速度を表示させる装置も最近は人気が高まっているという。こちらの製品はナビゲーションに使うというよりも、バイクやランニングなどのスポーツ時に腕に装着し、ペースは適切か、走行距離は現在地でどれくらいか、などがリアルタイムで確認できる製品だ。ワークアウトの後は、パソコンにUSBケーブルなどで接続し、結果を子細に分析したり、データをライブラリ化して過去の累積成績を振り返ることができる。
2006年8月31日付の日経新聞にも、そうした移動距離や速度を測れるGPS搭載の腕時計型スピードメーターが人気を集め始めているとの記事が掲載され、ついにそこまで来たかという感を強くした。ナビなら便利さがまず先に立ち、購入意欲を刺激しそうなことは納得できるが、ランニングなどのお供の製品に関心が高まっているとは。
カシオ計算機も9月末、GPS機能付きとしては世界最小・最軽量の重さ64グラムのランニング腕時計「GPR-100」(5万6700円)を売り出す。残念ながらこの腕時計はパソコンと連携する機能はないから、私のデジタルライフの範疇には入ってこない。しかし、そこまで人気が高まっているのなら、私が最近ハマっているGPS装置も話題にしておかしくない時代にはいったと実感する。
パソコンにつなげて楽しめるGPS
私が最近、ウオーキングや自転車でのワークアウトにいつも連れ出しているのはこんなガジェットだ。重さ77グラム。GPS製品を専門に開発している米ブランド、「GARMIN(ガーミン)」の「Forerunner 305」。
腕時計型のGPSデバイス、GARMIN, Forerunner 305
腕に装着して移動すると、GPSから算出した方向、スピードなどを刻々画面に表示してくれ、今どれくらい走ってきたか、何カロリーのエネルギーを消費したか、などを画面に表示してくれる。標高差なども表示してくれ、高台を移動しているときなど達成感も高まる。心臓の近くに装着する心拍センサーも同梱されていて、これを付けて走るとデータが腕の装置に転送され、同時に記録される。
素晴らしいのはワークアウト後だ。写真のようなUSBクレイドルに載せ、パソコンにつなげるとそれまでのデータをパソコンに取込んでくれ、いろいろ遊べる仕掛けになっている。
Forerunner 305はこのようなUSBクレイドルでパソコンにつなぐ。Macでも使える
製品に付属しているバンドルソフト「Training Center」では取込んだデータを簡易地図の上で表示したり、ペースや移動距離などを分析することもできる。しかし、残念ながら、バンドルソフトはWindows専用。
といっても心配ご無用。バンドルソフトより遥かに出来が良いWebアプリケーションが使える。Motion Basedが提供しているWebサイトでは、無料で会員登録をした後Forerunnnerからデータを吸い上げ、Googleマップで移動経路を表示し、会員同士で成果を競いあうことができる。
Motion BasedのサイトにGPSからデータを送り込むと、こんな感じで内容を表示してくれる。これは秋葉原から浅草まで歩いたときの様子。前後に総武線での移動が記録されている。
Motion BasedはMacの標準ブラウザ「Safari」向けのプラグインを提供しており、これが素晴らしい出来なのだ。Windowsではいったん別アプリでデータを吸い上げた後、サイトにアップするという手順を取るのだが、MacではWebブラウザ内から直接USBデバイスのデータを吸い上げたあと、データの管理画面に誘導してくれる。
Google Earthともダイナミックに連動
さらに素晴らしいのは、このデータを「Google Earth」用のデータとして吐き出し、移動経路を3次元アニメーションとして追体験することができることだ。Webアプリケーション内で「Google Earthで閲覧」というリンクをクリックすると「~.kml」というファイルがダウンロードされ、「Google Earth」が経路を表示してくれる。「ツアーの再生」ボタンを押すと、移動経路がまさに「ぐりぐり」とダイナミックに表示される。
Motion BasedとGoogle Earthはダイナミックに連動している。今度はGoogle Earthで移動履歴を見てみる。これはサンフランシスコ→ヨセミテ→ナパと旅した経路を示している。赤いラインが移動経路
参考までにヨセミテを散策し、ナパまで遠征してワインを仕入れてきたkmlファイルを添付しておこう。使用中のパソコンにGoogle Earthがインストールされていれば、ダウンロードしたこのkmlファイルをダブルクリックをするだけで、Google Earth上に私が4日間でたどった経路が表示される。さらに、「場所」エリア内に「ツアーを再現」させるための右三角マークがある。これをクリックすることで、辿った経路をへりで追跡するような気分も味わえる。お暇なら試してほしい。
サンフランシスコやニューヨークなどではビルの三次元グラフィックスデータがGoogle Earthで表示できる。この状態で街を動き回った経路を表示させると、船酔いが起きるほどのダイナミックな動きを再現してくれる。ホントに面白い。こちらのデータも付けたいが、こちらには友人宅のデータが入っているのでここでは遠慮しておこう。
実はこの製品を紹介してくれたのはアップルのWWDC 2006取材でサンフランシスコを訪れていたフォトグラファーの三井 公一さん。NikkeiBPのサイトやBP社の雑誌でも彼の写真はおなじみだろう。
三井さん、おかげさまで、ついついさぼりがちだったワークアウト、週に4日はやる気になってます。私のデジタルライフの枠を大きく広げてくれてありがとう。
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