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みなさんは、インターネット上の掲示板で誰かを誹謗中傷したことはありますか? もしくは、他人に誹謗中傷されたことはありますか? 韓国では、この誹謗中傷に歯止めが利かなくなり、ある法律が施行されようとしています。

 その名も「インターネット実名制」。正確には「情報通信網での実名確認に関する法律案」です。

 これが施行されると、1日の訪問者数が30万人以上のポータルサイト、20万人以上のニュースサイトでは、本人確認されたユーザーでなければ掲示板やニュースに対するコメントなどの書き込みができなくなります。実名制の適用を拒否する事業者には5000万円以下の罰金、他人の名義を盗用した利用者は3年以下の懲役が科せられます。

20060926_1.jpg インターネット専門のニュースサイトが加盟している、韓国のインターネット新聞協会のギル・インス事務局長(写真左上)は、表現の自由が失われるという理由で、同法案に対し反対を強く訴えていました。「国による規制は何としてでも止めたい」と。

20060926_2.jpg 一方で、韓国の市民メディア「オーマイニュース」のソルジ・キム記者(写真左下)は、自分が書いた記事に対して集中砲火のように浴びせられた批判や中傷を最初に見たとき、眠ることができなくてノイローゼ気味になったといいます。もちろん、インターネット実名制について聞くと「賛成」と返ってきました。

 そして、どうやらこの法案は通過しそうです。国民の過半数以上が賛成との調査結果が、次々と発表されているためです。なぜ、規制される側の国民が賛成するのか。その背景には、韓国でいくつも発生している誹謗中傷事件があります。

 最も有名なのは「犬糞女事件」です。韓国の地下鉄内で、飼い犬の汚物を処理せずに降りた女性がいました。その行動を撮影した写真がネット上に掲載されたところ、その女性はケ・トン・ニョ(犬糞女)と名付けられ、多数のバッシングに遭う羽目に。顔が公開され、真否の程は定かではないものの、個人情報もさらされることになりました。

 マナーの悪いこの女性が問題の発端となったのですが、ネット上の議論はその倫理観を問うことから、ネット上における誹謗中傷というテーマに発展。この事件は韓国のみならず、米ワシントンポスト誌で紹介されるなど、海外にまで波及しました。

 ユーザーが作り上げる米国のオンライン百科事典「Wikipedia」では、「Dog poop girl」として英語で紹介されるまでに至っています。そのほか韓国では、誹謗中傷を受けた人が自殺に追い込まれた事件もありました。

 インターネット住民は本来、国や法律が関与することを気嫌う気質が強い人々でした。それは、多分にその自浄作用を期待していたからに、ほかなりません。ただ、韓国でこうした法案に賛成する国民が多かったという事実は、見方を変えれば、自浄作用に対する諦めの文化が生まれてきたともとれます。

 日本でも、対岸の火事と安心していられるとは断言できません。現在、さまざまなブログにおいて炎上と呼ばれるバッシングが発生しており、大規模な事件がひとたび起きれば、世論がこうした規制をかける方向に傾く可能性は大いにあります。日本では、規制の網がかかる前に、自浄作用を期待できるのでしょうか。

 PCオンラインとGyaOの共同制作ニュースでも、このテーマを取り上げています。「全て実名に?ネット社会の匿名性に迫る!」をご覧ください。