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 今週から週1回、情報セキュリティというお題でブログを書くことになりました園田です。よろしくお願いします。

 わたしがいったい何者か、ご存じない方もいらっしゃると思いますが、そのあたりについてはネタ枯れしたときにでも(笑)おいおい触れていこうと思います。

 パソコンを使ううえでの危険というと、皆さんは何を想像されますか?

 やはり「ウイルス」でしょうか。確かにコンピュータウイルスはもう長いことみなさんのパソコンを脅かし続けています。しかし今、私が所属する情報処理推進機構(IPA)に寄せられる相談で最も多いのは、ワンクリック詐欺などネット詐欺のようです。

 ワンクリック詐欺とは文字通り1回クリックするだけで、いきなり「登録ありがとうございました」とか「利用料金は5万円です」などとお金を請求されてしまうというものです。そのきっかけは1通の迷惑メール、あるいはバナーのクリックです。クリックするといきなり「個人情報取得中」という画面になり、直後に「会員登録ありがとうございました」などと表示されます。注意書きを読むと、「払わないと家まで取りに行く」とか「住所は法律により開示されるのですぐわかる」などと脅し文句が満載だったりします。さらにはまさしく「個人情報」であるかのような、IPアドレスとか使用しているWebブラウザとか、住んでいる地方や携帯の場合は個体識別番号(電話番号とは異なる番号で、1台1台の端末に割り振られている番号のことです)まで表示されてしまうのです。

 夜中に(そう、たいてい夜中なのです)ひとりでいきなりそういう場面に遭遇したら、恐ろしくなってしまいます。どうも生半可な知識を持っている人ほど、あわててしまうようです。すると、「5万円程度ならと思って払って済ませよう……」という具合に、相手の術中にはまってしまうわけです。

 手口自体はそう新しいものではなく、すでに2~3年前からさかんに使われています。警察やJNSA(日本ネットワークセキュリティ協会)の「インターネット安全教室」など、さまざまな啓発の催しのなかで何度も取り上げられてもいますし、新聞記事にもなっています。ですから、もうすでにかなり知られているのかと思っていましたが、相談が寄せられてくる状況などを見ているとどうもそうではないようですね。

 最近はこの手口に、特に10代の若者が引っかかるケースが増えているようです。この手の詐欺の多くはアダルトサイトに関連しているので、なかなか親などにも相談できずに、言われるままにお金を支払ってしまって泣き寝入り、というパターンが多いようです(参考:ブロードバンド推進協議会「オンライン詐欺に関するユーザー調査」)。

 ネットなどと無縁だった時代には、リアルに詐欺の被害に遭う機会などそうはなかったわけですが、インターネットの普及はある意味、犯罪被害の一般化をも招いてしまったというところでしょうか。言ってみれば、まだまだ自分が「詐欺」慣れしていないうちに、すぐ身の回りに「詐欺」が潜むようになってしまったということですね。若者の被害増加も、大人以上に「詐欺」などの脅威に慣れていない、ということが原因にあるようです。

 そんな「詐欺」慣れしていない我々としては、どういう心構えでいればむざむざ詐欺などに引っかからないですむのでしょうか?

 ワンクリック詐欺に限らず、ITを悪用した詐欺というのは、利用者がテクノロジーに無知なことを幸い、ITを使えばあなたの個人情報など簡単にGETできるぞ、と脅してきます。しかし、あなたのIPアドレスや住んでいる地方、携帯電話の個体識別番号が分かったからといって、それだけでは住所や電話番号、いや、名前すら知ることはできないのです。あなたが犯罪者であるとか、そういうよほどの理由があって、しかも裁判所が認めれば知ることはできますが、それには犯罪者である可能性が高いことを論証できなければなりません。

 結局のところ、詐欺師がさまざまな脅しや誘導を仕掛けてくるのは、あなたの「反応」が得たいからなのです。どんな脅しが来ても一切「反応」しなければ、実際のところ皆さんに関しては何も知り得ないのです。

 もし皆さんがメールに返信すれば、詐欺師にはメールアドレスが生きていることが分かります。皆さんが契約取り消しやクレームのために記載された番号に電話すれば、詐欺師は皆さんの名前(そう、最初は名前すら知らないのです)に電話番号、もしかすると住所という大きな手がかりを得ることができます。でも、皆さんから何の反応もなければ詐欺師にとってはただのハズレでしかありません。脅し文句も思わせぶりなメッセージも、連続して送られてくる督促のメールも、すべて皆さんの「反応」を得るためのものです。しかし、「反応」しなければ何も起こらず、詐欺師は機械的に次の獲物を探しに行くだけなのです。

 彼らはとても即物的です。すぐカネになる獲物を探しているだけなので、ひとりの慎重なカモにそんなに時間をかけるほど暇ではありません。法律を盾に取ってきたとしてもビビる必要はありません。法律はだいたいにおいて消費者側を保護するようになっているものです。

 そこで教訓をひとつ。お金を請求されても黙殺してやり過ごしましょう。もちろん、本当に提供されているサービスを「使っていた」ら話は別ですが。

 黙殺できるほど図太くない方は、安心するために下記のサイトで情報をチェックしたり、直接電話やメールで相談してみてはいかがでしょうか。

●ネット詐欺について知るためには…IPAコンピュータ不正アクセス関連 FAQ国民生活センターアダルトサイト被害対策の部屋(個人のサイトですが、情報は充実しています)
または地元の警察のWebサイト

●ネット詐欺について相談するには…全国の消費生活センターIPAウイルス相談窓口
または地元の警察の生活安全課