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 Windows Vistaには、Windows Aero(エアロ)と呼ばれる新しい描画機能が搭載されている。タスクバーやウインドウの一部が半透明になる例のアレだ。

 AeroはVistaの分かりやすいセールスポイントではあるけれども、本質ではない。一定以上のハードウェア条件を満たさないとAeroは動作しないが、だからといって、VistaがVistaでなくなるわけではないからだ。

 確かに半透明を駆使したVistaの画面は綺麗だ。でも、それは「XPに比べたら多少は綺麗だよなぁ」というレベルの話であって、Aeroはパソコンを買い替える理由にはならないのではないか。

 というようなことを担当編集者に申し述べたら、「Aeroをオフにしてみれば使えない人の気持ちが分かりますよ」と返された。どうやら担当編集者は、自分のパソコンでAeroが動かなかったことに、相当がっくりきているらしい。

 なんで? 半透明がそれほど大事?

 ならばやってみよう、ということでAeroをオフにしたみた。やり方は簡単である。デスクトップ画面を右クリックし、「個人設定」のウインドウを開く。その中の「ウインドウの色とデザイン」を選択し、クラシックスタイルの「デザイン」プロパティを開く。後は「Windows Aero」以外のデザインを選べばいいのだ。

図1 個人設定の「ウインドウの色とデザイン」を開き、「デザイン」プロパティを開くと、「Windows Aero」「Windows Vistaベーシック」「Windowsスタンダード」「「Windowsクラシック」などさまざまなデザインを選択できる

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図2 「Windows Aero」「Windows Vistaベーシック」「Windowsスタンダード」を並べてみた。 「Windowsスタンダード」はさすがに古臭いが、「Windows Vistaベーシック」と、「Windows Aero」では見た目に思ったほどの差はない

 うーん、それでもぱっと見た感じでは、やはりAeroが特別凄いとは思えない。が、何度かAeroとスタンダードを切り替えて、実際に原稿を書いたり、Webを検索しているうちにだんだんと担当編集者のがっかり感が分かってきた。

 Windows Aeroは画面描画のうち、半透明や3Dなど負荷の高い計算をグラフィックボードに担当させる仕組みである。しかし、計算だけではAeroは実現できない。もうひとつの重要な要素、それは記憶である。

 Aeroは、奥に隠れているアプリの画面データや最小化しているアプリの画面など、直接は見えていないが動作はしている「絵」を憶えている。グラフィックスメモリーの「オフスクリーン領域」にこれらのデータを保持しているのだ(関連する技術解説記事)。

 考えてみればこれは当然であって、いくらウインドウの端やタスクバーを半透明にしたところで、その下にあるデータがなければ、「透けて見える」インターフェイスは実現できない。

 見えない絵を記憶しているということは、さまざまな場面でわかりやすいユーザーインターフェイスを提供できることにつながる。

 例えば、Aeroをオンにして、タスクバーに格納された最小化アプリの上にマウスを運んでみる。すると、ふわっとサムネイル画面がポップアップする。これは「隠された絵」を記憶しているからこそできる技だ。起動しているアプリの数が増えるほど、縮小化ボタンの面積は狭くなるので、この機能はありがたい。

 ん。ちょっと待てよ。

 タスクバーは同じソフトで多数のウインドウを開いている場合、ひとつのグループとして表示する。例えば、Internet Exprolorの画面を10枚開いている場合、グループのサムネイルはどのように表示されるのであろうか。

 実際に試してみた。 サムネイルは重なり、先頭分しか確認できない。

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図3 Internet Exprolorを複数ページ開き、最小化すると、タスクバーではひとつのグループとしてまとめられる。グループにマウスをあてても、すべてのサムネイルが表示されるわけではない

「ダメじゃん」

と一瞬思ったが、最小化ボタンをクリックすると、10枚分のページタイトルが表示され、それぞれのタイトルにマウスを運ぶと、おおっ、個別のサムネイルがきちんと表示されたのであった。やるなぁ、偉いぞ、Aero。

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図4 最小化ボタンをクリックすると、すべてのページのタイトルが表示され、個別のサムネイルをみることができた。すでに保持されているデータなので表示にストレスは感じない