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 毎年恒例のグーグルのメディア関係者向けクリスマス・パーティーに行ってきた。グーグルの本社ビルで毎年12月になると開かれるものだが、いくたびに本社ビルが大きくなり、会場が広くなり、内容が豪華になる。今年は、本社キャンパスの外側にグーグルの看板をあげているビルがさらに多くなったのに驚き、ずらりと並んだ寿司とジャズの生演奏が新しかった。

 このパーティーには、毎回2人の創設者も出席してちょっとした会話がかわせるのが慣例となっている。そもそも彼らとのインタビューが取れず、怒り心頭に達している数々のジャーナリストらのいらだちを鎮めることが目的で開かれているものなのだろう。

 それにしても、「勢いのあるところには、さすがにいろいろなものが集まってくるものだなあ」というのが、今年の感想だった。

 勢いの頂点にいるのはふたりの創設者。最近は地元新聞の社交ページなどにも顔の出ているラリー・ページは、笑顔をふりまき、パーティー用のスモールトークを交わしながら人々の間を進んでいく。セルゲイ・ブリンは、時に真剣そうに、深く突っ込んだ会話をしている。

 ふと後ろを振り返ると、YouTubeの、これまたふたりの創設者が立っている。著作権侵害問題などもあり、この会社は取材申し込みをしてもこれまでなしのつぶてだった。だが、ここではチャッド・ハーレーとスティーブン・チェンが、雑誌の写真で見た通りにそれぞれ細面の顔と逆立った髪をして並んでいるのである。

 「いや~、もう僕たちひどく忙しくてさ、資本を出してくれたベンチャー・キャピタリストと、まだグーグルに買収されたお祝いのディナーもやってないんだ」とスティーブン。多忙が極まって口も勝手に動くのかと思うくらい、よくしゃべる。

 「日本のユーザーがすごく多いけれど、それはどうしてだと思う?」と尋ねたら、本当のところはわからない、と言いながら、「日本ではケーブルテレビの受信料が高いから、代わりにYouTubeを観るという説があるけれど、そういうことかなあ」と続けた。このテのことについては俄然発揮される日本人のちょっとクレージーなクリエイティビティーについては、まだご存知ないと見える。

 元に戻るが、セルゲイ・ブリンには、「検索結果の表示方法なんだけれど、こう何て言うか、探していたとは自分でも気づかなかったようなものが出てくるような、面白いやり方ってないのかしら?」と注文をつけたら、「似たようなことはやっているんだけれどなあ……」と返された。うむ、私の勉強不足か。

 競合プレーヤーはなかなか登場しない

 グーグルの検索結果は、長いヌードルのように下へ下へと延々に続く感じで、日常的に検索を使っているとかなりの疲労感が積もる。私自身は、例えばクラスティー(Clusty)という検索サイトに期待をかけているのだが、これは検索結果を自動的にカテゴリー分けして見せてくれるものだ。あるいはアマゾンのA9も、ウェブ検索と書籍やローカル情報など複数の検索結果を並列して表示してくれるので、何かしら頭がすっきりするのだ。こういうことをグーグルもやってくれないのか。家に戻ってブリンが言っていたものを探したのだが、うまく見つからない。

 いずれにしても、グーグル独壇場の感のある検索市場に、ユニークな競合プレーヤーがあと2、3出てきてくれないかと長く待ち望んでいるわけだ。

 ここで「お寿司でもつまむか」と、テーブルの方向に向かった途端に、ウデイ・マンバーと鉢合わせした。ああ、この人物こそ、くだんのA9を率いていたアルゴリズムのエキスパートである。どうも最近A9の勢いがイマイチになったと思っていたら、マンバーは今年2月にグーグルに引き抜かれてしまったのだった。

 「アマゾンとグーグルとでは、仕事をする環境がやっぱり違います?」と尋ねた。
 「それはね、○○○○○、○○○、○○○○○○○○○,○○○」
 残念ながら、このパーティーはオフレコということになっているので、ちょっとクリティカルな彼の返答についてはここには書けない。競合に頑張ってほしいと願っても、こうやってグーグルが競争相手から優秀な人材を引き抜き、ますます高くそびえていくのだから、なるほどそれはかなわないことだ。

 だがその日、グーグルの磁力に引かれてパーティーの場にやってきたものの中でもっとも嬉しかったのは、「100ドルのラップトップ・コンピュータ」だった。何年も前にその構想を聞き、プロトタイプの写真も見ていたが、本物がそこにあった。この話は、次回に続けよう。