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「ナカノさーん…」
 はーい、クボタくん、どうしたの?
「また落ちました…」
 え、社内コンペ?
「はい…」
 あらー。毎晩遅くまで残って作ったプレゼン、だめだったの?
「ダメでした…今までプレゼンするたびに、いろんな人からいろんなこと言われて…」

 どんなこと?
「それはもう、いろいろ…たとえば『字が細かくて多くて見にくいとか』」
 うーん、プレゼンの基本中の基本ね。
「『グラフの色分けがよくない』とか」
 センスが出るのよね。
「『スライドが50枚を超えるのはどうか』とか」
 それは論外でしょう!
「ナカノさんも怒る…」

 怒ってない怒ってない。クボタくんが最近、パワーポイントの勉強を頑張ってるのはみんな知ってるわ。わたしも応援してるのよ。
「ホントですか…」
 ホントよ! 上司の方々も同じよ。弱点を指摘してもらったら感謝しなきゃ。
「感謝してます。感謝して、今まで言われたダメな点を、全部直したんです」
 全部?
「はい。今回のプレゼンは、すごくほめられました。今までの欠点は全部直ったな、って」
 よかったじゃない!

「はい、よかったんですけど、でも落ちたんです(涙)」
 ほらほら、泣かない泣かない。まあ、コンペだからライバルがもっといいものを作ってきた、ってことでしょう。次に頑張ればいいじゃない。
「それはそうなんですけど、今後どう頑張ればいいのかわからなくなっちゃって」
 なんで?
「『今までの欠点は全部直ってるけど、どうもいまいち』って言われて…あとは何を直せばいいのかわからないんです(涙)」
 はいはい、聞いてあげるから、泣かない泣かない。そのプレゼン、印刷したのある?

「あります。ナカノさん、見てくれますか」
 ええ、見せてもらうわ…まあ、表紙のセンス、とってもいいじゃない。
「シンプルな緑を基調にしました」
 グラフの色分けも、前みたいに毒々しい色じゃなくて、品がいいわ。
「青でグラデーションをつけてみました」
 さわやかでいいじゃない。
「製品の特長はひとつひとつの項目を大きくしてみました」
 うんうん、わかりやすい。
「ここで動画も入るんです」
 効果的ね。
「それから季節ごとの展開については、ひとつひとつ練り込んでスライドを作りました」
 ひとつひとつはとてもいいわね。
「枚数もかなり少なくなってます」
 これぐらいが妥当ね。

「どこか悪いところ、ありますか?」
 うーん…正直に言うと…なんだか不思議。
「不思議、ですか?」
 うん。ひとつひとつのスライドはとってもよくできてると思うんだけど、トータルで見ると何かがおかしいの。
「何がおかしいんでしょう?」
 …あ、わかった! 統一感がないのよ!

「統一感?」
 一枚一枚のスライドを作ることに全力を注いで、全体のデザインがバラバラになってるの。たとえば、ここの大項目は左合わせなのに、次のスライドの大項目は中央合わせ。その次は右合わせ。
「あ…」
 バックの色がくるくる変わるのもちょっとうるさい感じね。
「あー…一所懸命やったのに…もうダメだ(涙)」

 ダメじゃない、ダメじゃない。デザイン テンプレートを使ってみたら?
「デザイン テンプレート?」
 そう。ツールバーの“デザイン”っていうボタンをクリックするといろんなテンプレートか出てくるの。それを下敷きにすると、箇条書きのスタイルやバックの色や柄が統一されて見やすくなるのよ。
「そ、そんな便利なものがあったんですか! 知らなかった…(涙)」
 今知ったんだからいいじゃない。クボタくんはやればできる子なんだから大丈夫!
「ホントですか…ありがとうございます、頑張ります…お腹空きました…」
 じゃあ、ご飯食べに行こう! ねっ! 支度してきて!…なんだか、幼稚園児にナンパされたような気がするのはなぜ(汗)?