PR

 ブログや、ウィキペディアのようなオンライン百科事典サービス、口コミを生かした地図サービスなど、「ユーザー参加型」のサービスは増える一方。これらのサービスに共通するのは、ユーザーが持つ情報や知識を提供する「ボランティア精神」だ。この「ボランティア精神」によって通信インフラまで作り上げてしまおうというサービスが2006年12月4日にスペインから上陸した。

【個人の無線LANが「みんなのAP」に】
拡大表示

 「FON(フォン)」はユーザーが自宅に設置した無線LANルーターを公衆無線LANのアクセスポイント(AP)として活用するサービス。スペイン、イギリス、台湾など、世界約144カ国でサービスを展開し、会員数は2006年12月15日時点で約19万人。既存の公衆無線LANサービスとは違い、FONではAPを設置するのはエンドユーザーの役割だ。

 会員になるにはまず、FONのWebページで会員登録を済ませ、同社が「LaFonera(ラフォネラ)」と呼ぶ無線LANルーターを購入。FONのWebサイト上で購入できるほか、フォン・ジャパンと提携したエキサイトも販売を予定している。価格はなんと1980円。LaFoneraを自宅に設置すれば、宅内用と外部用のネットワークがそれぞれ自動で構築される。LaFoneraを設置したユーザーは、ほかの人が設置しているLaFoneraを公衆無線LANのAPとして無料で使うことができる。この会員形態を「Linus(ライナス)」と呼ぶ。

 日本では現在Linusのみが利用可能だが、他国ではほかの会員形態がある。一つはLaFoneraを所有せずに1日300~400円程度の従量課金でFONを利用する「Aliens(エイリアン)」。もう一つの形態は「Bills(ビルズ)」。BillsはLaFoneraを自宅に設置。それをAliensやほかのBillsが利用した場合に接続料金の半額を収入として得られる。その代わり、自分がLinusやほかのBillsのAPを使う場合には利用料金を支払う。

「可能性」は計り知れない

【ユーザーが自宅に「LaFonera」を設置する価値は高い】
拡大表示

 FONは既存の公衆無線LANサービス事業者に「発展しない理由はない」(NTTコミュニケーションズ)と言わしめるほど大きな可能性を秘めたサービスだ。

 まず、LaFoneraの値段が断然安い。既存製品に比べ3分の1の価格となれば、宅内に無線LANを構築しようとするユーザーの有力な選択肢になることは間違いない。市場の活性化を促すにとどまらず、「大手プロバイダーなどの提携が相次げば無線LANルーター市場への脅威になる可能性もある」(バッファロー)。

 さらに、FONには既存の公衆無線LANサービス事業者が設置してきたAPの数とはけた違いのAPを設置する力がある。実際、現行のサービス事業者が数年がかりで3000程度しか設置できなかったAPの数を、FONは開始直後の5日間であっさり抜いてしまった。2006年12月15日時点でLaFoneraの配布数は約1万2000。山奥やビルの高層階など事実上“使えない”APが数多く含まれることも予想されるが「既存のサービス事業者には設置できない場所へAPを設置できる」(エキサイト)のは、むしろ強みともいえる。

 APの数が増えれば、今まで点と点でしかなかった公衆無線LANサービスが、面をカバーするサービスに拡大する。そうすれば、例えば「無料電話ネットワーク」を作ることも夢ではなくなる。FONのインフラ、無線LANに対応した携帯電話、Skypeの3点セットで実現は十分可能だ。親会社のフォン ワイヤレスにスカイプが出資していることも、その計画に現実味を持たせる。スカイプだけではなく、出資会社には米グーグルも名を連ねる。FONが作り上げたネットワーク上でグーグルが仕掛けてくる「次の手」を警戒する声も多い。「グーグルはすべての事業モデルを破壊する力がある」(NTTコミュニケーションズ)からだ。