PR

 あけましておめでとうございます。パソコン業界にとって「勝負の年」になるであろう2007年の幕が開けました。今年、パソコンを取り巻く環境はどのように変化するのでしょうか。一般コンシューマ市場を中心に、その見所を押さえておきたいと思います。

期待を大きく裏切った2006年

 その前に、2006年を振り返ってみます。昨年を一言で表すと、パソコン業界にとっては「誤算」の年でした。

 なぜなら、2006年はパソコン激動の年になるはずでした。理由は単純です。マルチコアCPUが普及期に入り、5年ぶりにメジャーバージョンアップするWindows Vistaや新しいthe Office system 2007(Office 2007)が登場。加えて、Blu-rayやHD DVDといった大容量DVD、ワイヤレスUSBなどの無線通信技術が次々に姿を現すと見られていたからです。近年まれに見る豊作の年に、これらを十分に使いこなす環境を整えるべく、各メーカーやソフトハウスが新たな試みに挑戦するだろうと考えていました。

 ところが、ふたを開けてみると豊作どころか、動きはわずか。マルチコアCPUはクアッド(コアが4つ)まで進化して普及期に入ったものの、Windows Vistaと新Officeは開発が遅れ、一般ユーザー向けの発売は2007年に持ち越されました。Blu-rayやHD DVDといった大容量DVDも広く普及するための材料がまだ調っていません。

 電子情報技術産業協会(JEITA)が発表したデータを見ても、国内における2006年4~6月のパソコン出荷台数は前年比97%(2005年の306万7000台に対して296万5000台)、7~9月は前年比96%(2005年の313万5000台に対して301万台)にとどまりました。企業向けに比べて、一般コンシューマ向け市場での苦戦が続いており、2006年末商戦も前年に比べて販売台数が大きく落ち込んでいます。

 このため、各メーカーの「2007年こそ」との想いは自然と強まるばかり。Windows VistaとOffice 2007の登場を機に、市場が活性化し、2006年の落ち込みをカバーしてあまりある上積みを期待しているのです。2007年こそが勝負なのです。

注目は2~3月のパソコン販売実績

 マイクロソフトは、2007年1月15日にWindows VistaとOffice 2007の大規模な発表会を開催します。この場で、各メーカーがWindows Vista搭載パソコンを披露し、ソフトハウスがWindows Vistaへの対応状況を明らかにする予定です。1月30日の店頭での発売日には、世界中でカウントダウンイベントも行う計画です。

 では、こうしたマイクロソフトの取り組みが実を結び、市場は活性化するのでしょうか。注目は、Windows Vista搭載パソコンが店頭に並んだ直後の2~3月の販売実績です。前年の実績を上回るかどうかではなく、どの程度上積みできるかが勝負の分かれ目。この割合を見ることで、“Windows Vista特需”の大きさや、今後のパソコン市場動向をある程度予測することができるのです。

 私の予測では、前年実績を上回るのは当然。前年に対して、10%程度のアップは期待できるのではと考えています。上級ユーザーの間では、「Windows Vistaに変えたって何か新しいことができるわけではない」と冷めた向きもあるのですが、初級・中級ユーザーの眼には新しいOSが“新鮮”に見えるのではないでしょうか。マイクロソフトをはじめ、多くのパソコンメーカーがWindows Vistaや搭載パソコンの宣伝に力を注ぎます。露出が高まることで、市場は確実に活性化するはずです。

Windows Vistaだけでは限界が…

 ただ、これが現在のパソコン市場の抱える象徴的な欠点でもあります。Windows(マイクロソフト)によって市場が大きく左右されるという欠点です。新OSの発売が遅れると買い控えが起こり、市場の活性化を新OSに依存してしまう。これこそが、2007年に解消すべき課題ではないでしょうか。そろそろ、業界をあげて取り組む必要があると感じます。

 当然ですが、パソコンはアプリケーションがなければ、いろいろな機械部品を詰め込んだ単なる箱でしかありません。Windows Vistaも、パソコンを動かすための基本的な環境を提供するだけ。使い勝手や検索機能、安全性は改善されますが、Windows Vistaを導入するだけで何か新しいことができるようになるわけではありません。市場の活性化に必要なのは魅力的なアプリケーションです。新たなアプリケーションが登場してこそ、パソコンは輝きを放ち、Windows Vistaを使う意義も生み出されます。

 このため、2007年はこれまで以上にアプリケーション分野、およびパソコンの新しい利用方法に目を向けるべきだと考えています。業界に問いかけ、関係者とともに、新しい利用目的を創出していかなくてはなりません。そうでなければ、ハードウエアの進化も、新しいOSも意味のないものになってしまいます。

 私が期待しているのは顔認識や画像認識、自動翻訳などの分野です(関連記事)。例えば、一般ユーザーでも使いこなせる画像認識ソフトが登場すれば、ハードディスクの中であふれかっているデジカメ画像やプレゼン資料などを簡単に仕分けできるようになります。数百枚ある子供の写真を、子供別に仕分けしてくれればどんなに楽でしょう。顔写真付きの名刺が増えれば、名刺の管理にも役立ちます。動画の整理にも使えるでしょう。

 パソコンの利用目的を創造する作業は容易ではありません。新たな分野のアプリケーションがすぐに登場するとも思えませんが、アプリケーションの分野でこういった質的変化の兆しが見え始めることには大きな期待を寄せています。兆しを感じることができるかどうかが、2007年の最大の注目点だと私は考えています。

※次回からは、パソコン関連のキーワードを軸にしたトレンド予想記事を順次掲載します。