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 2007年、私たちはパソコンが備えるUSBインタフェースに対して、「何か周辺機器をつなぐための存在」という従来の考え方を改めたほうがいいかもしれません。「ReadyBoost(レディーブースト)」の登場によって、新しい目的でUSBインタフェースを使うようになるからです。

 ReadyBoostとは、Windows Vistaに搭載される新機能。具体的には「仮想メモリー」の技術です(関連記事)。ちょっと乱暴な言い方になりますが、Windows VistaパソコンではUSBインタフェースが「メモリー増設用スロット」の役割も担うようになります。USBフラッシュメモリー(USBメモリー)をUSBインタフェースに挿すだけで、メインメモリーの容量をアップしたのに近い効果が期待できるのです。そして、それを実現するのがReadyBoostです。

 従来のWindowsでは、CPUの処理すべきデータ量がメインメモリーの容量では足りなくなると、ハードディスクへ一時的に待避させていました。スワップと呼ぶ方法です。そのため、ハードディスクの一部領域を、Windowsはキャッシュとしてファイル保存用とは別に確保しています。これが仮想メモリーです。

 Windows Vistaの場合は違います。メインメモリーとハードディスク上のキャッシュの間に、USBメモリーを仲介役として割り込ませることができます。メインメモリーからハードディスク上のキャッシュへデータを待避する場面では、ハードディスクだけでなくUSBメモリーにも同時に書き込みます。一方キャッシュからデータを読み出す場面では、まずUSBメモリーにデータがあればそれを読み出します。USBメモリー上には見つからなかった場合だけ、ハードディスク上のキャッシュファイルへアクセスします。

USBメモリーを活用する高速化技術「ReadyBoost」の仕組み

USBメモリーがスワップを大幅に減らす

 このReadyBoostの仕組みがもたらす効果は、言うまでもなく処理の高速化です。ハードディスクに読み書きする回数が減れば、それだけパフォーマンスアップにつながります。ハードディスクのアクセス時間は数十ミリ秒。これに対してフラッシュメモリーは数百ナノ秒。10万倍も速いのだから当然でしょう。最近は、アプリケーションのプログラムは巨大化する一方。WordやExcelは起動しただけで、それぞれ10M~20MBものメモリーを消費します。数メガの大きさのファイルを扱えば、メモリー消費量はもっと増えます。さらに“メモリー食い”が顕著なのがInternet Explorer(IE)。起動しただけで25MBで、しばらく複数のWebページを同時に表示し続ければ、あっという間に100Mや200MBに達してしまいます。

 ちょっと前なら、十分過ぎるとされた512MBもの容量をメインメモリーとして用意しても、最近は実は裏でスワップがひんぱんに発生してしまいがちなのです。マイクロソフトがわざわざReadyBoostをWindows Vistaに用意したのは、こうした背景がありました。メインメモリーを数GBに増やすのは手間もお金も結構かかってしまいますが、1、2GB程度のUSBメモリーなら安価に買え、しかも手軽にセットできますから。

 ReadyBoostで肝心なのは、Windows Vistaの「SuperFetch」という技術(関連記事)を応用し、使う頻度の高いアプリケーションほど優先的にメインメモリーやUSBメモリー上に置いたままにしてくれることです。より高速化しやすいように、勝手に環境を整えてくれます。これはありがたい! Windowsを起動後、よく使うプログラムやファイルを一度立ち上げたら、ほとんどハードディスクへのアクセスが発生しない--。そんな夢のように高速な環境で、パソコンを使えるかもしれませんね。

 こんな魅力的なReadyBoostを活用せずにWindows Vistaを使うのは、ちょっともったいなさ過ぎるとは思いません? 個人的にはWindows Vistaパソコンには、USBメモリーを必ず挿しっぱなしにしておくべきだとさえ感じます。読者のみなさんも、Windows VistaへOSをアップグレードしたら、ぜひUSBメモリーをセットしてみてください。ただし注意事項が一つ。一定以上の速度で読み書きできるUSBメモリーでないと、Windows VistaではReadyBoost機能をオンにできません。USBメモリーメーカーは、自社製品が「ReadyBoost対応」かを公表し始めています。お使いのUSBメモリーは対応するかどうか、必ずチェックすることを忘れずに。

メーカーは自社製品のReadyBoost対応を明示しつつある