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「ううーっ、急がなきゃ、急がなきゃ! 早く出てこい、早く出てこい! 今度こそミスがありませんように!」
 タグチくん、どうしたの?
「あっ、ナカノさん! クライアントさんに持って行く資料がなかなかできなくて」
 そんなにページ数が多いの?
「はい、かなり。図も表もいっぱい入ってて」
 そっか、力作なのね…あっ、印刷できたみたいよ。

「よかった! えーとえーと…ああっ、ダメだ、またやり直しだあー!」
 どこがダメなの?
「ここです、12ページ目、『来期2006年度は』ってあるけど、来期は2007年度ですよ!」
 ホントだー…って、なんでそんな細かいミス、すぐ見つけられるの?
「もうね、この手のミス、続出なんです。だからだいたい、どのへんに間違いがあるか予想できちゃう…実はこの資料、去年のものを下敷きにして、書きなおして作ったんですよ。だから直し忘れがあちこちに」

 これ、Wordの書類でしょ? 年度なんかはひとつひとつ確認しながら検索置換すればラクなのに。
「ええ、ボクならそうしました」
 これ、タグチくんが作ったんじゃないの?
「違うんです…作ったの、課長ですよ、課長」
 あー…タナカ課長。
「そうです」
 あのWord自慢の、タナカ課長。
「そうです、そのタナカ課長です」
 そのタナカ課長が作ってくれた、ミスだらけの資料を直して、これからクライアントさんのところに持って行くのね。
「そうですそうです、ものすごく急いでるんですけど、これで全部直しただろう、と思って印刷すると、またミスが見つかって…」

 これ、相当ページ数あるわよね。
「23ページです」
 23ページの書類を、何回印刷したの?
「覚えてません…すみません…」
 焦ってるとミスを見逃して、結局二度手間、三度手間になるのよね…これ、表や図版もミスがあるの?
「いえ、それは大丈夫です。そっちは課長じゃなくて先輩が作ってくれたものですし、今までに何度も全員でチェックしてますから」
 すると、問題はタナカ課長が関わってる、テキストの部分だけなのね。
「はい、そうです」

 タグチくん、これ、テキストだけ印刷して校正したらどう?
「え? そんなことできるんですか?」
 できるわよ。設定してあげましょうか?
「うわあ、助かります! お願いします!」
 ええとね、ファイルメニューから印刷、オプション。ここに[同時に印刷する項目]ってあるでしょ、この中の[オブジェクト]のチェックを外して、印刷!
「プリントアウト取ってきます!…うわー、すごいすごい! ホントだ、テキストだけで印刷できてる!」

 オブジェクトを外したら何ページになった?
「4ページです!」
 23ページが4ページって…どんな書類なの、これ…。
「あー、課長の手が入ってるところ、意外に少なかったんだ。あれですね、表や図版があると、そっちに気を取られて、テキスト校正がおろそかになりますね」
 まあねー…個人的な資質の問題もあるかもしれないけど…。
「よし! これで間違いなし! よかったー、クライアントさんのところに行くの、間に合います! ナカノさん、ありがとうございました! じゃ、行ってきまーす!」
 ああっ、タグチくん! オブジェクトを入れて印刷し直さなきゃダメでしょ! もうっ!