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 「FON」という公衆無線LANサービスがスペインから上陸して1カ月以上が経ちました(関連記事)。FONを簡単に説明すると、個人が自宅に設置した無線LANルーターを公衆無線LANのアクセスポイント(AP)としてみんなに使わせてあげよう、というサービス。既存の公衆無線LANサービスでは、サービス提供企業がAPを設置していたのに対し、その設置をユーザーに任せてしまうというのがこのサービスの特徴です。

 ユーザーが自宅に設置するのは、サービスを提供するフォン・ジャパンが提供する「LaFonera」と呼ぶ無線LANルーター。設置すると、そのユーザーはほかの人が設置したAPを無料で使えるようになります。今後、他人のAPを有料で使う代わりに、自分のAPを使った人がいた場合にその人から利用料金を徴収できる会員形態も導入される予定です。

 フォン・ジャパンが会員登録を始めたのは2006年12月5日。1カ月以上経った今、進捗状況を担当者に聞いてみました。サービス開始当初は、そもそも個人の回線を他人に開放するのはインターネット・サービス・プロバイダー(ISP)の会員規約に抵触するのではないか、LaFoneraなんてマニアしか使えない、など様々なネガティブな意見がありました。「サービスが本格化する前にフォン・ジャパンの資金繰りが立ちゆかなくなるのでは」という関係者さえいました。

 ふたを開けてみると、そんな意見はどこ吹く風。FONは現在、飛ぶ鳥を落とす勢いで会員数を伸ばしています。その数、約1万6000人。公衆無線LANサービス大手NTTコミュニケーションズの「HOTSPOT」のAPが3500なのに対し、1カ月でその4倍以上の数を設置せんとしています。販売協力をしている九十九電機でも初回入荷分は完売。現在、1月末の入荷を待たなくてはいけない状況です。

 ただし、LaFoneraは1980円と格安のため、会員数を伸ばしただけでは利益にはなりません。多くの企業に出資をしてもらい、それによりサービスを軌道に乗せ、最終的には広告収入でサービスを成り立たせるのがフォン・ジャパンの狙いです。

 現在、フォン・ジャパンの親会社フォン ワイヤレスにはグーグルとスカイプが出資企業として名を連ねています。フォン・ジャパンによると「3月までには日本の企業2社、海外の企業2社からの出資が決まっています。出資企業からの増資の話も」とのこと。問題となっていたISPとの問題も徐々に解決に向かっている模様です。「3月までに1社、春ごろまでに大手ISP1社が協力予定」(フォン・ジャパン)。さらには、既存の公衆無線LANサービス事業者1社とローミングの話し合いを進めているのだとか。

 正直、思った以上のスピードでサービス拡大が図られていて驚きました。一方で、サポート体制の強化はまだ図られないまま。実は私個人もLaFoneraを導入しようとしているのですが、いまだつながっていません。

 なぜか。設定がうまくいかないのです。フォン・ジャパンに何度か質問し、解決策を教えてもらったのですが、やっぱりダメ。やはり、サポート体制が「2人」というのは心許ないものです。説明書やFAQ、サポート体制が圧倒的に大手無線LAN機器ベンダーと比べて物足りないのは1カ月経っても変わらない様子。とりあえず、使っていなかったIP電話を解約して、ISPから配布されていたルーターをはずして再度チャレンジしてみようと考えています。

 ユーザーは現在、こういった問題をmixiなどのコミュニティを使って、自らで解決しようと試みています。FONに関するコミュニティ参加者もこの1カ月で倍以上に増えました。ただし、彼らが疑問を解決して、無事接続できたかどうかは分かりません。

 1万6000個のAPがあっても、使えないAPがほとんどでは意味がありません。Wi-Fiアライアンスでは、つい先日無線LANルーターを簡単に設定できる規格を標準化しました(関連記事)。1980円でこの機能を搭載するのは難しいかもしれませんが、「普通のお母さん」や「携帯電話しか知らない若年層」などを取り込むには、「設定の簡単さ」は必ずクリアしなくてはなりません。1人のユーザーとして、切に願います。