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 年明け早々、「2007 International CES」の取材で米ラスベガスに行ってきました。CES参加が初めての私にとって、出発前から最も楽しみにしていたのはマイクロソフトのビル・ゲイツ会長の基調講演。ゲイツ会長の基調講演と言えば、これまで最先端のパソコン技術や先進的なビジョンがいくつも示されてきたことで知られています。これを生まれて初めて目の前で聞けるのですから、どんなワクワクが飛び出すだろうかと期待していました。また昨年引退表明をしたゲイツ会長が、一体どんなメッセージを発信するのかということにも興味がありました。

 こうした思いは皆に共通なのでしょう。講演開始の3時間前には、早くも会場の入り口周辺が混雑し始めました。係員が大声を上げて交通整理をしたものの、一時は下手をしたら事故が起こるのではないかと思わせるほどの混みようでした。

 そして始まった基調講演。Windows Vista Ultimateに用意される新機能やWindows Home Server、Xbox向けの新サービスなど、発表が相次いだのは既報の通りです(関連記事)。しかし正直なところ、私が期待していた「ワクワク感」は、あまり得られませんでした。

 講演の全体を流れていたテーマは「Connected Experience」。他人とつながることで得られる新しい体験、といったところでしょうが、それ自体に目新しさはありません。また講演の最後には、未来の家や街を想定したデモを見せたのですが、寝室の壁に自分の好きな映像を映し出すとか、バスに乗っていると近くにあるレストランのクーポン券が送られてくるなど、いわゆるユビキタス技術関連の発表でよく目にするシナリオでした。

寝室の壁に、好みの写真や映像を表示させるデモ

 パソコン誌の記者として参加したからかもしれませんが、基調講演の中で私が個人的に最も興味を抱いたのは、いかにもパソコンらしい、パソコンでなければできない技術のデモでした。複数の失敗写真を合成し、一枚の望ましい写真を作り上げるというものです。大勢で写真を撮ったら誰か1人が目をつぶってしまい、仕方なく撮り直すと、今度は別の人が目をつぶってしまった――。こんな時、上手に撮れた個所だけを抽出して別の写真に合成し、全員がにこやかに笑っている写真を作ってくれるのです。パソコンならではの高い処理性能を生かした高度な画像処理を駆使してこそ、可能になる技です。

望ましい写真を作ってくれる「GroupShot」

 後から調べたところ、この機能は同社の研究開発部門マイクロソフト・リサーチが開発している「GroupShot」をベースにしているようです。マイクロソフト・リサーチのWebサイトをのぞいてみると、これ以外にも楽しそうな技術が目白押し。こうしたパソコンの新技術を前面に出せば、基調講演の印象は違っていたでしょう。

 もっと我々パソコンユーザーをワクワクさせてほしい。そう思ったラスベガスの夜でした。