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 2005年12月から始まった 韓国のワンセグ「地上波DMB」。2006年はDMBの年といえるほど、DMB受信に対応した携帯電話がよく売れた。2006年末現在、地上波DMB端末の出荷台数は282万6000台、衛星DMB端末(日本のモバイル放送)の出荷台数も101万8000台を突破し、2007年には1000万人以上がDMBを視聴する見込みだ。

テレビ広告は公社が大枠を決定

 首都圏限定だった地上波DMBは2007年3月からは公営放送のKBSが、6月からは民放やその他事業者が全国放送を始める。これまで、地上波DMBはTVと同じく端末や受信機さえ購入すれば無料で見られる放送だというほかに、移動しながら利用したくなるこれといった目玉コンテンツもないまま、収益性で苦戦していた。それが、全国放送をきっかけに有料データ放送開始、中間広告導入に向けて政府情報通信部と放送委員会(放送事業に関する規制を管理する事業者団体)での話し合いが本格化している。

 日本のTV広告は広告代理店の影響が強いが、韓国のTV広告は韓国放送広告公社という政府機関が審議をし、広告の種類や単価、流せる時間もきっちり決めているので代理店のパワーはそれほど強くない。地上波DMBの広告単価は端末500万台普及を基準にTV広告の10分の1に当たる15秒当たり24万ウォンが基本だが、現在はその半分しか普及していないので12万ウォン、15秒約16,000円とかなり安い。事業者側はまだまだ投資が必要なだけに中間広告を開始して収益を上げたがっている。

 中間広告とは番組の合間に15分ごとに流れる広告のこと。韓国では1974年から放送法で広告は番組の前後にだけ許され番組の間に入るのは禁じられている。

 2000年3月改定された放送法では、TVの広告時間は全放送時間の10%以内、60~90分未満の番組は1回、90~120分未満の番組は2回、120分以上の番組は3回以内、1回当たり1分以内4件の広告までとなっている。ドラマの途中に広告が入らないので集中して見られるし、ネットで有料VOD再放送販売する際にも広告をカットするかどうかの問題はなく、ネット専用の広告をVODが始まる前に入れるだけで済むというメリットはあるがTV局の収益には問題がある。

広告に頼れないテレビ局のあの手この手

 中間広告を禁止した理由は「視聴者の見る権利を侵害する」、「広告が始まるとどうせチャンネルを変えるから意味がない」など。でも広告収入がすべてのTV局にとっては厳しい規制だ。その影響で制作費にお金をかけられなくなったTV局は製作会社に費用を転嫁し、製作会社は PPL(Product Placement、間接広告)広告としてスポンサー企業の商品をそれとなく映したり、番組の最後に「制作協賛000社」と字幕を入れたりしている。PPLのため主人公の名前をスポンサー企業名にすることもあった。

 例えば建設会社のテヨンがスポンサーだからと主人公の名前をテヨンにしたドラマもあった。ドラマの70%以上を撮影する条件でロケ地となった地域の自治体から数億ウォンの制作費を出してもらうこともある。韓流の影響でドラマのロケ地観光で収益を上げられるから、自治体はどこもロケ地に選んでもらおうと必死になっている。

 でも韓国ではドラマや番組の中に特定商品のラベルが映るのも禁じられている。ほとんどのドラマが無謀なまでのPPLのせいでプロデューサーが謹慎処分になったり、謝罪放送を余儀なくされたりしている。まだ一度も適用された事例はないが、放送委員会はTV局に営業停止や課徴金を付加することもできる。

韓国版ワンセグが番組中間広告解禁の糸口に?

 政府は2006年12月「サービス産業の競争力強化総合対策」を発表し、TV広告規制合理化方案として地上派DMBでは中間広告を許容するべきと提案した。全体の広告時間は規制しても広告をどの時間にどれぐらい流すのかはTV局の自由に任すべきという広告業界の要求を受け入れそうな雰囲気だ。

 でもケーブルTVは「今でも地上波TVにばかり広告が集中しているのに、規制を緩和するとTVには広告があふれケーブルTVは広告の受注がますます難しくなる」と猛反発している。また、韓国の地上波DMBでは、サイマルでTVの画像がそのまま流れている。今後、中間広告を地上波放送では禁止し、DMBでだけ許すとなると、どうやって番組の時間編成を調整するのかという問題もある。いや、ひょっとしたらこの先、地上波への中間広告規制撤廃もありうるかもしれない。

 日本では当たり前の中間広告。安定的なサービスを実現するためには中間広告が必要という業界側の意見は理解できるが、視聴者の立場からすると広告が増えるのはあまり嬉しくない。