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 ようやく、コンテンツ振興のために著作権法が改正される方向となりました。これにより検索エンジンを国内に設置することができるようになります。現在、Webサイトのキャッシュデータ(検索を高速化するために一時的に保存しておくためのデータ)を国内に持つことは著作権法上許されていません。このため、Googleなどは検索用サーバーを海外に置いて対応している、といわれています。こういった問題をクリアーするために著作権法を改正しようというのです。

 今回の法改正は、コンテンツ振興とともに国産の検索エンジンを作る国家プロジェクトのためという大きな目的があります。もちろん、ネット世界の「現実」に法律を合わせるという側面もあるのでしょうが、もし国家プロジェクトがなければ従来のままだったかもしれません。

 ただ、筆者の興味は検索エンジンとは別のところにあります。それは、法改正によって国立国会図書館によるデジタルアーカイブ事業(Webサイトを保存する事業)が、促進される環境が整うのではないかということです。

 すでに米国ではInternet Archiveによって、膨大な量のWebサイトが収集され、保存されています。この中には日本のサイトもあり、過去にどんな情報を掲載していたかを時系列でさかのぼって確認することができます。

 国会図書館は、数年前に日本のWebサイトの収集・保存に関しての実証実験を行い、現在稼働はしています。が、収集しているのは国の機関や都道府県、電子雑誌など公的なWebサイトや情報だけ。米国のInternet Archiveのように膨大な民間のWebサイトは保存していません。

 公的機関だけを保存する理由の一つに、著作権問題があったといわれています。現在の著作権法では著作物の無断複製を認めていないため、Webサイトを保存しようとすると事前に許可を取る必要があり、実際に国会図書館はこの方法で運営しています。

 著作権法が改正され、事前の許可作業が不要となれば、こうした手間は格段に減ります。企業のWebサイトや在野の研究者のWebサイトなど、有益な情報を持つWebサイトを簡単に保存できる環境が整っていくのです。

 もちろん、すべての情報を保存するのは現実問題として不可能ですし、プライバシー保護などの点から難しいという面もあります。個人情報を暴露したWebサイトが保存され、いつまでも閲覧可能な状態に置かれるような状況は想像したくありません。

 ただ、著作権法の改正によりデジタルアーカイブ事業が広がりを見せることには賛同します。現在、政府は「コンテンツ大国を目指す」というかけ声をかけています。課題はあるものの、著作権法の改正により、国会図書館のデジタルアーカイブ事業の運用が広がっていけば、Webにしかない知恵や知識を後の世代に残していくことができます。それは、コンテンツ大国の一助となるのではないか、そんなことを考えています。

国会図書館のデジタルアーカイブ「インターネット情報選択的蓄積事業(WARP:Web ARchiving Project)」の検索画面