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 今回は分散ファイル・システムについて説明します。オフィスではたいてい、複数のコンピュータでファイルを共有して使うために、ファイル・サーバーを運用しています。分散ファイル・システムはファイル・サーバーを実現するための技術です。使っていてあまり意識していませんが、分散ファイル・システムもTCP/IPを使って動作するアプリケーションです。

遠隔地のファイルを手元にあるように見せる

 分散ファイル・システムを使うと、ネットワークにつながった別のマシン(サーバー)にあるファイルを自分のマシンのディスク上にあるファイルと区別せずに利用できます。複数の利用者がネットワーク越しにほかのコンピュータのファイルにアクセスするだけなら、前回学んだFTPでも可能です。分散ファイル・システムは、別のコンピュータにあるファイルの使い勝手が手元にあるファイルの場合とまったく変わりません(pict.1)。ここがFTPと違う点です。

 このように、遠隔のファイルと手元のファイルを区別せずにアクセスできることを「アクセス透過性」と呼びます。分散ファイル・システムはほかにも、ネットワークのどこからでも同じようにファイルにアクセスできたり(位置透過性)、ファイルの読み書き速度が手元にある場合と変わらないようにする(性能透過性)ための機能も備えています。

 TCP/IP上で動作する代表的な分散ファイル・システムとしては、サン・マイクロシステムズが開発したNFS (network file system)があり、おもにUNIX環境で使われています。マイクロソフトが開発しWindowsで広く使われるSMB/CIFS(server message block/common internet file system)は当初、TCP/IPとは異なるプロトコル向けに作られましたが、現在はTCP/IP上でも動作します。

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 分散ファイル・システムを使うと,ネットワークでつながったほかのコンピュータのファイルを,あたかもユーザーのローカル・ディスクにあるかのように扱えます。
 絵では実際にハンガーに掛けてある服がローカル・ディスクのファイルで,服の写真だけ飾ってあるのが分散ファイル・システムが扱うネットワーク上のファイルを表しています。一見同じに見えますが,ユーザーがネットワーク・ディスクのファイルにアクセスしようとすると,背後で動いているソフトウエア(絵ではロボット)がネットワークでつながったコンピュータにアクセスしてデータを取ってくるしくみになっています。
 ただ,毎回ネットワーク越しにデータをやりとりするとアクセスに時間がかかり過ぎます。そこで実際の分散ファイル・システムでは一度取得したデータをキャッシュとしてローカルに保存し,2度目以降の応答速度を上げています。