コンピュータ・ネットワークの基礎も第6回を迎えました。これまでの5回では、コンピュータが相互に情報を交換する場合の基本的な考え方や方法を色々な視点から見てきました。
そこで今回は、体系だった視点でコンピュータ・ネットワークの世界を眺めてみることにしましょう。その中で、広く使われているネットワークの設計モデルを紹介します。
通信機能をグルーピングして階層立てる
コンピュータ・ネットワークの最初のシステムは、米国の国防省が1969年に開発したARPANETです。このARPANETのもたらした通信技術が現在のインターネットの基礎になりました。ここで、ネットワーク・アーキテクチャが誕生しました。
ネットワーク・アーキテクチャとは、ネットワークを設計する方法です。具体的には、通信機能をグルーピングして、階層化します。グループの例としては、通信回線を制御してデータを伝送するための機能、ネットワーク上でデータをあて先まで届ける機能、目的の通信サービス(ファイル転送、メール交換など)を提供する機能などです。これらのグループ化した機能を積み木のように階層型に構成するのです。
その後、国際標準機関であるISO(International Organization for Standardization)によってネットワーク・アーキテクチャの検討がなされました。そこでも、通信機能の階層化が採用されました。このISOが標準化したネットワーク・アーキテクチャを、OSI(open systems interconnection)基本参照モデルと呼んでいます。