今回はIPデータグラムが指定されたあて先のコンピュータへ転送されるしくみを説明します。
IPデータグラムはルーターが中継する
IPが交換する情報の単位をIPデータグラムと呼びます。IPのネットワークはルーターがネットワーク同士を接続するパケット交換型のネットワークです。ルーターの役割はIPデータグラムを適切なネットワークへ中継することです。IPデータグラムのヘッダーには、送信元のIPアドレスとあて先のIPアドレスが書かれています。ルーターはあて先IPアドレスを読みとり、適切な経路を選んでIPデータグラムを送り出します。
ルーターはネットワークと送り出す経路を対応付けた一覧表を持っています。この一覧表とあて先IPアドレスを突き合わせることで、IPデータグラムの転送先がわかるわけです。この一覧表をルーティング・テーブル(経路表)と呼びます。
あて先IPアドレスが所属するネットワークがルーターの所属するネットワークと同じである場合は、あて先のコンピュータはルーターと同じネットワークに所属していることになります。ルーターはIPデータグラムをあて先のコンピュータへ直接送信します。あて先のコンピュータが自分とは別のネットワークに所属しているときは、自分よりそのネットワークに近いルーターへIPデータグラムを転送します(pict.1)。このようなルーターの中継機能(中継制御)をIPルーティングと呼びます。