第2層プロトコルで相互につながった複数のコンピュータを経由し、送信元からあて先のコンピュータへデータを送り届けるのが前回解説した第3層プロトコルの役割でした。今回説明するOSI第4層(トランスポート層)の基本的な役割は、上位の層(アプリケーション・プログラムなど)から受け取ったデータを相手の上位層まで送り届けることです。
識別子を使って目的のプログラムに渡す
通常、コンピュータ内部ではいくつものプログラムが同時に動いています。別々のコンピュータで動作しているプログラム同士がネットワークを使ってデータをやり取りするには、第3層プロトコルの機能だけでは足りません。第3層プロトコルはデータをコンピュータまでしか届けてくれないからです。第4層プロトコルは第3層プロトコルが送り届けたデータを選別して、そのデータを受け渡すべきプログラムに届けます(pict.1)。
実際のプロトコルではパケットのヘッダー部分にデータを渡すべきプログラムの情報(識別子)を書き込んでおいて識別に利用します。TCP/IPネットワークでは、TCP(transmission control protocol)やUDP(user data protocol)が第4層プロトコル当たりますが、これらのプロトコルでは識別子としてポート番号が使われています。