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 前回までにThe Power of Full Engagementの概要を一通りご紹介しましたが、今回は少し掘り下げて、コーポレートアスリートにとって、エネルギーとはそもそも何なのか、という点を整理したいと思います。

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 エネルギーには肉体、感情、精神、魂の4つのレベルがあり、肉体をベースに、魂を頂点とした階層構造になっています。肉体がベースにある、というのは非常にわかりやすいでしょう。風邪を引いたとき、あるいは寝不足の時には、「早く帰って寝たいなあ」と誰しも思うはずです。ベースの肉体が落ち込んでしまうと、その上の感情的なエネルギーも落ち込んでしまうからです。逆に、肉体が元気だと気分も良く、感情もハッピーになります。

 そして、感情が元気だと、精神的なレベルも高まる。「今日の自分はとても気分が良くてパワーがみなぎっているから、落ち込んでいる人をどれだけ元気にできるか考えよう」といった具合に、ポジティブで明るい精神になります。

 精神の上が魂です。私自身、この段階まではたどり着けていないのですが、お金や地位、名誉がどうでも良くなるのが、魂のエネルギーが充実している状態です。どんなことがあっても揺るがず我が道を進む。そういう強い人間になれるようです。

 さて、こうした心のエネルギーを横軸に、体のエネルギーを縦軸においてマトリックスを作ったのが下記のものです。

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 左下の、精神的にネガティブで、肉体のエネルギーも低いのが最悪の状態です。その対極が右上になります。精神的にポジティブで、肉体のエネルギーも高い、つまりFull Engagementの状態です。この右上の状態で仕事をしたときに、人はもっとも力を発揮できます。

 左上は体のエネルギーは高くても精神的にネガティブな状態です。このとき、人は攻撃的になりがちです。右下は肉体は疲れているけれども精神的にはポジティブな状態。充足し、リラックスしています。

 意識的にエネルギーをコントロールしない限り、人は常にこれら4つのエリアを行ったり来たりしています。私はもともとエネルギーにあふれているタイプなので(笑)、左下に行くことはまずないのですが、ほかの3つの状態を行き来することはあります。理想は、右上の状態で仕事をし、右下で休息をとるのを繰り返すこと、つまりエネルギーに満ちた精神状態を保ち、必要なときに「戦略的」な休息をとることです。

ポジティブな人の“気”を分けてもらう

 しかし、人間、どうしてもエネルギーレベルが一時的に落ちてしまうこともあります。「戦略的」休息を取る以前に、いろいろなストレスがかかり落ちてしまうのです。今の私には幸いにその様なことはありません。そういうときの対処法は人それぞれでしょうが、かつての私は週末2日ゆっくり休息をとっていました。仕事をすっかり離れて、ネガティブな感情をきれいに忘れてしまうようなオフを作るんです。たとえそれが無理でも、メールチェックだけにとどめて会社には行かないなど、忙しい中でも工夫していました。現在の「戦略的」休息は、本当はただ大好きなだけなのですが、年に2-3回沖縄の離島に家族や友人と行き、海に潜っています。

 もう1つ、おすすめの方法は、ポジティブな人に会うことです。同僚を誘って飲みに行くのもいいでしょうし、初対面の人を食事に誘ってみるのもいいでしょう。ポジティブな人からは、ポジティブな“気”が出ています。それは集団でも同じです。例えば、デルの社長時代、会社の方針などを話すために複数の部門の全体ミーティングに顔を出していました。そうすると同じ話をしても、エネルギーに満ちた集団は拍手が湧いて盛り上がるけれど、そうでないほうは静まりかえったまま。拍手をされると、私も気分が良くなり、エネルギーが沸いてきます。それはほめられてうれしいのではなく、エネルギー、すなわちポジティブな気で会議室が満たされるからなんです。

 もちろん、人それぞれ自分にフィットするやり方をすればいいわけですが、何をして良いかわからなければ、とりあえず「オフを作って好きなことに思い切り打ち込む」「ポジティブな人間に会う」という二つの方法を実行してみてください。

(構成 曽根武仁=百年堂)