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 前回は、USBメモリーだけでプレゼンテーションを行える機能を紹介した。手軽にデータを表示できるとなれば、会議などで入れ替わり立ち替わり、複数の人が持ち寄ったデータを見せ合って議論するといった使い方もできるようになる。今回は、そんな用途に最適な、データプロジェクターとパソコンの接続を無線LANで行う方法を紹介しよう。ケーブルを接続する必要がないということは、プレゼンターが変わるたびにいちいちケーブルを差し替える手間がいらないということだ。これにより、データプロジェクターの新たな使い方さえも見えてくる。

これまではケーブルが足かせ

 データプロジェクターを使うというシチュエーションを思い浮かべてみよう。どのようにデータプロジェクターをセッティングするかを考えてみると、おそらく次のようになるだろう。

 プロジェクターはスクリーンから数メートル離れた場所に設置する。一方、プロジェクターに接続するパソコンを置ける範囲は、主にディスプレイケーブルの長さによって決まる。パソコンを操作する人が座る位置や向きも、プロジェクターとスクリーンの位置関係からほぼ選びようもなく決まってしまうだろう。

 少人数が、小さな会議室に集まっているようならば、パソコンの位置はさほど問題にはならない。しかし、10人以上が出席する、あるいはそれ以上の規模の会議となると、ディスプレイケーブルの制約がデータプロジェクターの使い勝手を制約する可能性がある。ケーブルの長さだけの問題ではない。データプロジェクターを使う人が多いほど、プレゼンターが変わるたびにパソコンを持って移動し、ケーブルをつなぎ換え、終わるとまたケーブルを外して、元の席に戻るという、ちょっとしたドタバタで全体の進行が邪魔されていく。

 無線LANに対応したデータプロジェクターなら、こうしたわずらわしさから解放される。無線LANを使えば、データプロジェクターの位置を気にせず、電波の届く範囲にさえいれば、どこからでもデータプロジェクターに接続できる。

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写真1 プロジェクタとパソコンを無線LANで接続すれば、使い勝手はさらに向上する

専用ソフトで簡単に接続

 無線LANを使うと聞くと、接続するための設定などが難しいのではないかと、心配する向きもあるかもしれない。確かに、パソコンでアクセスポイントに接続するようなときには、アクセスポイントを探し出し、SSIDを指定したり、暗号キーを入力したりといった設定が必要だ。なかなかつながらなくて困った経験を持つ人も少なくないだろう。

 プロジェクターでも同じようなトラブルが起こる可能性はある。もし、接続する際にトラブルが起こったら、プレゼンテーションそのものに支障を来たす。トラブルがすぐに解決できなければ、出席者も興ざめしてしまう。そのため、プロジェクターとの接続は確実に簡単に接続できることが望ましい。

 そこで、プロジェクターによってはできる限り簡単に接続を行えるように工夫している。たとえば、専用アプリケーションを利用してプロジェクターとの融和性を向上させるなどしている。例として「EMP-1715」(セイコーエプソン)での無線LANを利用したプロジェクターとパソコンの接続方法を見ていくことにしよう。

 EMP-1715では「EMP NS Connection」という専用アプリケーションを用意している。EMP NS Connectionはプロジェクターとパソコンを接続するだけでなく、ネットワークを介してプロジェクターを操作する機能を搭載したアプリケーションである。

 接続にはまず、パソコン側でインストールしておいたEMP NS Connectionを起動する。すると、プロジェクターへの接続方法を尋ねられる。「かんたんモード」と「マニュアルモード」の2種類が選べる。かんたんモードを選択すると、エプソンの無線LAN接続に対応したプロジェクターを探し出して一覧表示する。あとは、接続したいプロジェクターを選択して「接続する」ボタンをクリックするだけだ。

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写真2 EMP NS Connectionで付近にあるプロジェクターが一覧される。ここから、接続したいプロジェクターを選んで「接続する」ボタンを押すだけだ

 ここで、キーワードを尋ねられる。ここには、データプロジェクターのスクリーン上、画面左下に表示されているキーワードの4桁の番号を入力する。このキーワードはプロジェクターを不正利用されないようにするためのものだ。無線LANは壁越しでも接続が行えてしまう。もし、悪意のあるユーザーが会議室の外からプロジェクターに接続できてしまうと、勝手に画面を使われてしまうリスクもある。そこで、同じ部屋にいるユーザーのみがアクセスできるようにスクリーン上のキーワードを入力するようになっている。このキーワードは数分おきに変更される。

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写真3 表示されたキーワードを入力することで、プロジェクターへの不正アクセスを防ぐ