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 今月の本はBrian Livingston著、「Windows Vista Secrets」(Wiley出版)だ。私はそのゲラを綴じた形で持っているが、すでに大変役立っている。

 今月の映画は、「The Good Shepherd」である。プロットに明らかな不備があり、政治的偏向も明白だが、ワイルド・ビル・ドノバンがプリンストンとイェールのWASP連中を利用してどのようにOSS(戦略事務局)を作り上げ、それをCIA(中央情報局)に発展させるのに取り組んだかが簡単に理解できる。演技と監督がすばらしいので、簡単に分かるのだ。ただしこの映画は、政治的な問題に関して不備がある。

 この映画の簡単には分からない欠点の1つは、ピッグス湾で実際に起こったことの描き方だ(訳注:ピッグス湾事件とは、ケネディ政権のときに、キューバ人の亡命者による祖国奪還を支援しようとした事件。CIAが黒幕と言われる)。つまり、この作戦が失敗したのはCIAの二重スパイのせいではない。

 アドレー・スティーブンソンがケネディに影響を与え、弱気にさせたので失敗したのだ。ケネディは気後れし、ニカラグアから飛びたつCIAのB26爆撃機をジェット戦闘機で支援することを中止させた。この結果、第二次世界大戦時の旧式プロペラ機だったB26は、ソ連が供給するキューバのジェット戦闘機の餌食になった。

 そのくせケネディには、侵攻を中止する勇気もなかった。その結果、作戦は破滅し、キューバのレジスタンスリーダーが大勢死んだ。そしてCIAのパイロットたちは、護衛のない旧式爆撃機は低空飛行のアヒルみたいなものだと知りながら、戦友を支援するために爆撃機に乗ることを志願したのだ。

 映画は、冷戦の混乱状態をうまく描いている。ソ連は、亡命者を装ったスパイを送り込んだ。彼らの中には、KGB(国家保安委員会)やGRU(参謀本部情報総局)のエージェントだけでなく、まだそうなっていない者もいたらしい。彼らの家族は人質としてKGBに拘留されていた。

 偽の亡命者の使命は、その多くが、本物の亡命者がもたらした情報は疑わしいと思わせることだった。一方、米国がソ連へ送り出したスパイのほとんどはすぐに発覚した。このことはCIAに、二重スパイを見つけ出すという英雄的な(気違いじみた、と言う人もいるだろう)努力を促した。

 皮肉にも、本当の二重スパイはキム・フィルビー(CIAと英国情報局との連絡係として働いていた非常に好感の持てる英国のエージェント)だった。フィルビーは、CIAが知っていることはほぼすべて知らされており、それをモスクワへ通報していた。ところがCIAとFBIは、CIAに潜入しているはずの二重スパイを探すという無駄な努力をした。このことは映画の中で垣間見えるが、すでに知っていなければ映画からは推測できないだろう。

 最後に、文民として初めてCIA長官になったアレン・ダレスだが、彼にどんな欠点があったにせよ、彼は打算的でも堕落しやすい人でもなかった。そして、身近で働く人に狂信的なまでの忠誠心を起こさせる能力があった。アレンは、ジョン・フォスター・ダレス(訳注:アイゼンハワー政権の国務長官)の弟である。

 何はともあれ、この映画は、諜報関係者が自由な社会の番人という任務を負わされたとき、どれほどの犠牲を払うかを描いたなかなかいい作品である。