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 手のひらにすっぽり入るような小さなデジカメが続々とリリースされる今日このごろ。小さなカメラといえば、「ローマの休日」に登場したライター型カメラを思い出す。オードリー・ヘップバーン扮する欧州歴訪中の某国の王女が新聞記者のグレゴリー・ペックとローマで束の間の自由を楽しむ姿を、ペックの親友のカメラマンが隠し撮りしていたアレだ。ちなみにこのライター型カメラは「エコー8」という機種でなんと日本製。鈴木光学から発売されていたものだそうだ。

 もし、これが現代のお話なら、カメラマンは手のひらサイズのデジカメで王女を撮影していたかも。いや、今なら携帯があるじゃないか。わざわざ親友のカメラマンを呼び出さなくても、ペック記者は自前の携帯で王女を撮りまくっていたに違いない。「ちょっとメールの返事を打たなくちゃ…」なんてテキトーなことを言っておけば、世間知らずの王女はコロリと騙されそうではないか。もちろん撮影した画像は片っ端から新聞社にメールで送信だ。そして、王女のスクープ画像がペックの新聞社のwebに速報として流れる。世界中大騒ぎ。「王女の反乱! 乙女心を理解できなかった某国の苦悩」「体調不良は嘘だった!? おてんば姫、ローマでご乱行!」なんていう派手な見出しが各国のニュースサイトに躍るわけだ。

 ペックには新聞社からめでたく特別ボーナスが支給され、たまっていた借金も無事返せる…ああ、そうだ、忘れてた。ギャンブル好きのペックは借金まみれ。親友のカメラマンを呼びだしたのは撮影を頼むためだけではなく、王女をローマ観光に連れ回す軍資金を提供させるという目的もあったのだ。金がなければどこにも行けぬ。美しいローマの観光スポットを巡るロマンティックな映画になるはずの「ローマの休日」が、危うく何処にも出かけられない「新聞記者のしょぼい部屋の休日」になってしまうところであった。ペックが携帯持ってなくて本当に良かった。