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 今年は「鉄腕アトム」が生まれた年らしい。
 といっても、天才・手塚治虫も2003年という近未来を読み切れなかったのだろう。残念ながら、現実ではいまだにアトムのような高性能なロボットは誕生していない。

 先日、asahi.comに東大の情報理工学系研究科で“跳ね起きるロボット”の開発に成功したという記事が載っていた。

 仰向けに寝た状態から、脚を振り上げて「どっこいしょ」と反動をつけて起きあがる動作ができる人型ロボットである。名前はダニール。身長160センチ、体重70キロ。

 起きあがるまでにかかる時間はわずか2秒だという。すごいぞ。速いじゃないか、ダニール君。

 だが、この動作、一体何の役に立つのだろう?

 同記事には「将来は心を察する知能も備え、災害救助や介護の現場などで人を助けるロボットにしたい」という東大の助教授のコメントが掲載されていたのだが、跳ね起きる動作と災害救助との関連性がわからない。

 ロボットが転んだ時、ひとりで素早く起きあがれる機能は必要だろう。いちいち誰かが起こさなくちゃならないのだったら面倒だ。だけど、別に「どっこいしょ」と跳ね起きなくてもいいんじゃないの?…と科学オンチの私は思う。

 人型ロボットといえば、CMでもおなじみのホンダのASIMOが有名だ。世界初の二足歩行ロボットである。

 Hondaウエルカムプラザ青山や鈴鹿サーキット、ツインリンクもてぎなどホンダの施設でデモンストレーションをしているほか、すでに日本IBMや高島屋などで案内係として働いているという。ASIMOのサイトに掲載されている機能一覧によると、方向の案内、意志表現(うなづく、イヤイヤをする)、バイバイする、お辞儀する、物をささげ持つ、渡すといった動作ができるらしい。なるほど、いずれも案内係ロボットとして必要な機能だ。

 しかし、わからないのが、ガッツポーズ、偉ぶるポーズ、泣くポーズという機能。ASIMOにはジャンケンをする機能もあるので、勝った時にガッツポーズをするのかもしれない。でも、偉ぶるポーズというのは一体どういうシチュエーションで使うのか。

 「トイレはどこですか?」「本当ニ知リタイデスカ? ソレナラ教エテヤッテモイイデスヨ」と偉ぶるポーズ。

 「ああもうっ、早く教えてくださいよ、急いでるんです」「ハイ、トイレハ、マッスグ行ッテ右ニ曲ガッタ所ニアリマス」「え? 右ですね?」「嘘デス。ヒッカカリマシタネ」とガッツポーズ。

 「もういいよ、自分で探すから」「ヤレヤレ、冗談モワカラナイナンテ哀レナ人デスネ」と泣くポーズ。

 ……って、こんな案内ロボットはイヤだよ。こんな応対では、怒った客に襲われるに違いない。手で殴るとたぶん手の方が痛いだろうから、ASIMOの腕をつかんでひきずり倒すとか、蹴飛ばすとか。

 あ、そうか。こんな時にこそ、素早く跳ね起きる機能が必要になるわけだな。東大の研究は無駄ではなかった。

 無論、実際のASIMOは誠にフレンドリーなロボットであり、わざわざ客を怒らせるようなことはしていない。「ASIMOってトイレの場所を尋ねると嘘を教えるんだってさ」などと、よそで吹聴すると恥をかくので気をつけてほしい。

ASIMO SPECIAL SITEhttp://www.honda.co.jp/ASIMO/